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「Aは呪術師の家の子なのか?」
『んー?違うよ。術師は私だけ。』
縁側に並んで座る真衣と真希。
まだ私に警戒している真衣とは対照的に、
真希はさっきからずっと話しかけてくる。
何処から来たのか。何しに来たのか。
どんな術式を使うのか。何級の呪術師なのか。
慣れない手当てに集中し、
真衣の足に包帯を巻きながら耳だけ傾け聞いていた。
「うちらもAみたいに才能があったらもっとまともな飯も食えたかもな。」
『大変だね。今度なんか買ってくるよ。』
「別に平気。追い出されないだけましだ。」
『……。二人は、呪術師にはならないの?』
手当てを終え、真衣の隣に腰掛ける。
顔を見ると、二人とも何気なく聞いた質問に目を丸くして固まっていた。
「なる訳ねえだろ。呪力無いんだぞ?なあ真衣。」
「……うん。」
『でも、呪力がなくても呪術師にはなれるでしょ?』
「どうやって呪霊祓うんだよ。私なんか視ることも出来ないし…」
『それは……何か方法はあるんじゃない?知らないけど。』
「知らねえのかよ。」
『…。その人がどうやって視えてたのかは知らないけど、真希みたいに呪力がないけど強い人は居たよ?…たぶん私より強かったし、この家の呪術師じゃ相手にもならかったと思う。』
元は禪院家の人間だった人だが、
ここまで話してこの子たちが知らないということは
禪院甚爾だった記録はもう残っていないのかもしれない。
呪力がないから弱い、なんて
何て陳腐で馬鹿らしいことか。
あの大きく恐ろしい化け物が弱いとは毛ほども思えない。
『どれだけ強力な術式があっても、優れた体術や武術は脅威だよ。術式がないなら呪具を使えばいいし、周りが五月蠅いなら強ければいい。』
「……。」
「……。」
『だって禪院ってそんなに強くな…』
「香月!! 俺を待たせてここで何をしてる!早く来いと言っただろう!?」
『…………はーうざ。』
話の途中で乱暴な足音と怒鳴る声が聞こえ、仕方なく重い腰を上げる。
「…。」
「…。」
まだピンと来ていなさそうな二人の顔に苦笑いし、
最後に頭を撫でて手を振った。
『大丈夫だよ。ちゃんと強くなれるから。また遊ぼう。』
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sou(プロフ) - 縞さんの呪術の作品全て拝見しました!!チューベローズの作品とても好きだったのでこちらもにまにましながら読みました!完結お疲れ様です♡♡ (2022年2月16日 9時) (レス) @page27 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
もぐ - 主様の作品の大ファンです。原作に忠実な登場人物たちや丁寧で綺麗な文章が本当に大好きです。もう書くことを辞めてしまったと存じますが自己満足でコメントさせていただきました。これからもずっと大事に読ませていただきます。素敵な作品に出会わせてくれてありがとう (2022年2月3日 4時) (レス) id: 21668848fc (このIDを非表示/違反報告)
セキララ - 私も恵とパパ黒好きなんです!(強さに惹かれた。もちろん顔も)周りの子はほとんど狗巻派なので少し悲しい。やっぱり1番は五条悟ですねw (2020年12月14日 20時) (レス) id: b7451699de (このIDを非表示/違反報告)
縞(プロフ) - セキララさん» 最初に好きになったのは五条先生ですが今は夏油や伏黒パパも同じくらい好きです。 (2020年12月14日 15時) (レス) id: c197e34fed (このIDを非表示/違反報告)
セキララ - 最近読み始めて止まらなくなり、すぐ読んでしまいました…続きを楽しみにしています!五条悟好きですか? (2020年12月14日 6時) (レス) id: b7451699de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縞 | 作成日時:2020年10月19日 3時