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庭で二人で遊んでいると、目を離した隙に急に真衣が泣きだした。
振り返ると何かに怯えるように小さく蹲り、足からは血が出ている。

見えない何かから逃げる真衣を追いかけ、
何から守ればいいのかも分からないまま石や枝を投げるが、ずっと真衣は怖がってた。



近くを歩く大人たちは
こっちに気付いても助けてはくれない。

それでも誰かを呼び続けて、真衣を守る。







「お姉ちゃん…、もう大丈夫。」

「大丈夫じゃねえよ。怖いんだろ?」





「あの人が追い払ってくれたから。もう居ないよ。」

「…?何やってんだあいつ。」







真衣が指差す方を見ると、
不自然に指を動かしながら
後ろで騒いでいるジジイの付き人達を眺めている女がいた。


うちの人間じゃない、
少し前からたまに見かけるようになった人だ。








「…いくぞ」

「うんっ」









足を引き摺る真衣の手を取って名前の知らない女の人に近づく。

全身黒い服に、黒い髪。
自分の周りにいた大人たちとは雰囲気が違う。
怖くも冷たくもない。でも、近寄りがたい。
こんなに近くで見るのは初めてで、少し緊張する。









「あんたが祓ってくれたのか?」


『いや、追い払っただけ。…足、大丈夫?君は?』








「真衣。こいつは真希、妹なんだ。」


『…そう。よく守ったね。』









綺麗に笑って私の頭に手を置く。

ただそれだけで、
不思議とさっきまでの不安はだんだん小さくなっていった。

そのまま真衣の足を見て顔を顰め、
同じように頭を撫でてそっと抱き上げる。









『手当してくれる人、誰か居ない?』


「……。」








『?』


「居ない。」









『一人も?誰も居ない?』


「大人は、才能のないガキは嫌いだからな。」









一瞬固まって、
ふう、っと息を吐く目の前の女の人。

左手で真衣を抱いたまま何故かもう一度私の頭を撫でて、
唸りながら悩んでいる姿をこっそり見上げる。

やっぱり綺麗だ。
それから、なぜかこの手はすごく安心する。









『困ったな。絆創膏も持ってないんだけど…。硝子呼ぶ訳にもいかないし…』


「救急箱の場所なら知ってる。」









『一人で取って来られる?』


「うん。」








『じゃあお願い。私は真希と傷を洗ってくるから。』


「分かった。」

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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 伏黒恵
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sou(プロフ) - 縞さんの呪術の作品全て拝見しました!!チューベローズの作品とても好きだったのでこちらもにまにましながら読みました!完結お疲れ様です♡♡ (2022年2月16日 9時) (レス) @page27 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
もぐ - 主様の作品の大ファンです。原作に忠実な登場人物たちや丁寧で綺麗な文章が本当に大好きです。もう書くことを辞めてしまったと存じますが自己満足でコメントさせていただきました。これからもずっと大事に読ませていただきます。素敵な作品に出会わせてくれてありがとう (2022年2月3日 4時) (レス) id: 21668848fc (このIDを非表示/違反報告)
セキララ - 私も恵とパパ黒好きなんです!(強さに惹かれた。もちろん顔も)周りの子はほとんど狗巻派なので少し悲しい。やっぱり1番は五条悟ですねw (2020年12月14日 20時) (レス) id: b7451699de (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - セキララさん» 最初に好きになったのは五条先生ですが今は夏油や伏黒パパも同じくらい好きです。 (2020年12月14日 15時) (レス) id: c197e34fed (このIDを非表示/違反報告)
セキララ - 最近読み始めて止まらなくなり、すぐ読んでしまいました…続きを楽しみにしています!五条悟好きですか? (2020年12月14日 6時) (レス) id: b7451699de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年10月19日 3時

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