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※五条先生出ません。
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禪院家の人間を、好きに殺して構わない。
代わりに、その期間 禪院直毘人の従順な犬 となる。
なんて馬鹿な縛りを設けてしまったのかと自分を呪っていたが、
慣れてみれば案外悪くはない。
恵や津美紀に近づく者は明らかに少なくなったし、
事前に連絡もなく京都まで呼び出されることを除けば
羽振りの良い収入源ですらある。
2年が経ち、
この広い敷地にも複雑な屋敷にも慣れ、
すれ違う人が私の姿を見て驚くことも少なくなった。
「…ぉい!…ッおい誰か!!」
『…?』
当主の部屋へと向かう長い廊下を歩いていると
庭の方から声が聞こえ、足を止める。
幼い女の子のような声が必死に誰かを呼んでいる。
目を凝らすと、木々が生い茂った庭の奥に小さな呪霊が数体。
その奥に声の主らしき少女が見えた。
津美紀と同じくらいの小さな女の子。
この屋敷に居るのだから、禪院の家系に生まれた子だろう。
そしてあれが祓えないということは、持たなかった子だ。
私にとっては幸せなことだが、
この家に生まれたのなら不幸なことなのかもしれない。
「香月様、お早うございます。」
「お早うございます。」
私に頭を下げ、通り過ぎていく数名の呪術師。
きっとこの声は届いているのに、振り向きもしないで去っていく。
『……。』
貼り付けたような不快な表情と声。
以前酔っ払ったこの家の主から聞いたことがある。
「 禪院家に非ずんば呪術師に非ず、呪術師に非ずんば人に非ず 」
思い出してしまうと虫唾が走って仕方がない。
すでに召集の時間は過ぎているが元から間に合わせる気もなく、
術式を使い少女を囲む呪霊達をこちらに引き寄せる。
そのままさっきすれ違った男たちの方へ放れば
向こうから慌てふためく声が聞こえ、少しばかりは気が晴れた。
「真衣!大丈夫だから、泣くな!」
「お姉ちゃん…もう居なくなったよ、」
「え?じゃあもう危なくないのか?」
「…うん……」
「早く言えよ。大声出して損したじゃねえか。ほら、行くぞ。」
「…ごめん。」
一人だと思っていたが、奥からよく似た子がもう一人。
怪我をしたのか足を引き摺りながら手を引かれてこちらに向かってくる。
「あんたが祓ってくれたのか?」
『向こうに追い払っただけだよ。…足、大丈夫?君は?』
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sou(プロフ) - 縞さんの呪術の作品全て拝見しました!!チューベローズの作品とても好きだったのでこちらもにまにましながら読みました!完結お疲れ様です♡♡ (2022年2月16日 9時) (レス) @page27 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
もぐ - 主様の作品の大ファンです。原作に忠実な登場人物たちや丁寧で綺麗な文章が本当に大好きです。もう書くことを辞めてしまったと存じますが自己満足でコメントさせていただきました。これからもずっと大事に読ませていただきます。素敵な作品に出会わせてくれてありがとう (2022年2月3日 4時) (レス) id: 21668848fc (このIDを非表示/違反報告)
セキララ - 私も恵とパパ黒好きなんです!(強さに惹かれた。もちろん顔も)周りの子はほとんど狗巻派なので少し悲しい。やっぱり1番は五条悟ですねw (2020年12月14日 20時) (レス) id: b7451699de (このIDを非表示/違反報告)
縞(プロフ) - セキララさん» 最初に好きになったのは五条先生ですが今は夏油や伏黒パパも同じくらい好きです。 (2020年12月14日 15時) (レス) id: c197e34fed (このIDを非表示/違反報告)
セキララ - 最近読み始めて止まらなくなり、すぐ読んでしまいました…続きを楽しみにしています!五条悟好きですか? (2020年12月14日 6時) (レス) id: b7451699de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縞 | 作成日時:2020年10月19日 3時