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｢あん時のAちゃん大変だったんだからねー！｣
全身を白い布で巻かれたAは目の前でカタカタと機械をいじるハルの声を聞いていた。軽薄そうなハルの声も口調も相変わらずだが、そんな彼にも気まずさがあった。
ここはいつも3人で集まっていた場所。空き家をハルが勝手に自宅にしただけのものである。広くはないこの空間がAは好きで心地よかった。3人共お互いの深い所には入り込まない。特にハルとAはそうだった。人との線引きが上手い。
それを尽く壊すのがユーリで、ハルもAもユーリに土足で踏み入れられた者達である。その存在がこの場にはいない。この場だけじゃない。世界中を探しても見つからない。
ハルの話す"あん時"はユーリが死んだ後の事。殺す事のみを念頭に入れたAは本能だけで動いているようにも見えた。殺人兵器とはよく言ったもので、殺しに特化していた。ハルは確かにがらんどうを見たのだ。柄にもなく声を荒らげても、喉が焼けるほどAの名前を呼んでもまるで聞こえていない。
それをその身を持って無理やり止めて、気を失わせてやっとの思いでここへ帰ってきた。
そして本人は記憶がまるでないのだから質が悪い。
Aとハルは仲が良いとは言い難いが、悪いとも言えない。あやふやな2人がこの先共に行動する事はないだろう。｢これからどうするの？｣というハルの質問にAは答えなかった。
どうしようかと頭を悩ませても答えは浮かばない。それはハルも同じだ。
｢ユーリは何で自分の死を選んだんだろうね。｣
素朴なAの疑問。絶望的なあの状況でもユーリならドフラミンゴの手から逃げる事は可能だった。それを何故しなかったのか。ドフラミンゴの元へ行く前にAがポツリと呟いた一言をハルは思い出した。
＿｢死ぬかもね。｣
それは誰に向けたのか。誰を指したのか。その時は分からなかったが、もしかしたらあれはA自身に向けた言葉だったかもしれない。それをユーリは気付いていたのだ。
＿｢私より後に生まれた分際で私より先に死ぬんは許さんからね！！｣
だから、ユーリはAにそう言ったのだ。
｢さァね…それはユーリにしか分からないよ。他人が他人の考えてる事を分かるなんて無理に等しい。ただ、ユーリが命を賭けて繋いだ命だ。せいぜい大事にして生きろ。｣
ユーリは世界でたった一人の血の繋がらない妹を守って幕を引いたのだ。立派な幕引きだとハルは思った。
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早桃 - 最高でした、、、！話が面白すぎて一気に最後まで読んじゃいました！！夢主ちゃんは何だかんだ言っていい子なんだなど読んでいるこっちが何故か親の様な気持ちになりました笑ホントに面白かったです。これからも頑張ってください。応援してます！！ (2022年7月27日 15時) (
レス) @page23 id: 70b28d3e93 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - めっちゃ泣いたしゾロカッケェな惚れちまうよぉ！！イメージソングすごくピッタリだなと思いました！ (2022年5月9日 3時) (レス) @page23 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 煮干しさん» ありがとうございます！気に入っていただけたようで良かったです！ (2021年12月21日 4時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 納豆巻きさん» こちらこそご愛読くださり、ありがとうございます！番外編もお楽しみに！ (2021年12月21日 4時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 水無月碧音さん» ありがとうございます！この世界観を楽しんでいただけたようで嬉しい限りです！ (2021年12月21日 4時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チョコレート | 作成日時：2021年12月19日 11時
