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滝を挟んだ向こう側でルフィの声が響く。たかだか仲間一人の為にここまで来たのかと思うと感心する。ここがどんな場所で相手が何なのかをルフィ達も知らぬはずはない。それを分かって来ているのだから麦わらの一味は随分の大馬鹿者達が集まっているのだろう。
｢麦わら達は嬢ちゃんの事も助けに来てんだよ。｣
隣にいたフランキーがやけに真っ直ぐな目をルフィ達に向けながら呟いた。Aにルフィ達は見えない。壁に寄りかかって、しゃがみこみ、面白くもない壁を眺めていた。
｢ロビン！！そこにAもいるのか！？｣
｢ええ、隣に！｣
｢よしっ！待ってろよお前ら！！今助けてやるから！！！｣
･
ロビンと共に護送船のある場所まで歩く。隣を歩くAにロビンは哀れみを含んだ眼差しを向けていた。スパンダムの話を顔色ひとつ変えずに聞いていた少女にロビンは胸を痛めた。そして、｢人格は死ぬ｣という言葉を反芻したのは今ので何度目だろうか。
実験、人格の消去、兵器…Aは政府から見たら実験動物にも劣らない立場でしかないのだ。彼らの有益の為に今まで少女はどれだけの苦痛を味わい、耐えて、絶望してきたのだろう。
それを第三者が想像するには難しすぎだ。きっとその苦痛はAにしか分からない。他人が想像するよりもずっと壮絶なものであろう。
･
護送船が見えてきた橋の上。仲間がまだ来ない事にロビンは不安を覚えた。彼らは無事だろうかと後ろを振り返っては歩き出す。そのロビンはと言うと、目の前の光景に唖然としていた。息をするのも忘れてしまうくらいに驚いた。
｢A……？｣
少女の手にも自分と同じように手錠がかけられているにも関わらず、目の前の海兵達を殺していく。
実験体にされるのを拒絶しているのでも、そこからくる恐怖で動いているのでもない。単純に少女は生きる為の手段として、己が生き残る為の手段として海兵を殺している。コロコロとひとつ、またひとつと胴から離れていくそれを眺めている事しかできなかった。
少女は貪欲だった。生きる事に。
誰かの為に死ぬのも、実験の末に死ぬのも御免だ。死ぬ時は自分で決める。誰にも殺されてたまるものか。死ぬ時は自分で死ぬか、天寿をまっとうした時だ。しかし、後者は難しそうなので、死ぬとしたら前者だと少女は考えていた。
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チョコレート(プロフ) - きゃーぽんさん» ありがとうございます！面白いと思っていただけるよう、これからも頑張っていきます！ (2021年10月18日 1時) (
レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - 面白くて一気に読みました！これかも頑張ってください！ (2021年10月18日 1時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 水無月碧音さん» ありがとうございます！！まだまだ未熟者ですが、楽しんでいただけているようで私も嬉しいです！ (2021年10月16日 4時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
水無月碧音(プロフ) - とっても面白いです！繊細な文章で、読んでいてとてもワクワクします！応援してます、頑張ってください!! (2021年10月15日 21時) (レス) @page17 id: 8595db9a5d (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 星猫さん» んー、結構色んなアニメ知ってると思います！ (2021年10月14日 16時) (レス) id: 077184ce48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チョコレート | 作成日時：2021年10月12日 19時
