【募集企画】8月32日より。【3L】

世界観 ページ2

遊びたい盛りの高校生にとって、青春としての一大イベントの一つでもある夏休み。
友達と、家族と、恋人と、はたまた1人のゆったりとした時間を過ごすこともあるこの期間でさえ、時は止まってくれやしない。

それは早朝、朝練のために起床しようと掛けた目覚まし時計がけたたましく鳴り響き、教えてくれる。
この数字が指し示す情報によると、もう時間は限られている。

そうだ、学校へ行かないと。

部活がある。
せっかく、レギュラーになれたのだからすやすやと眠っている暇ではない。
部活内を探せばレギュラーとして活躍したい、なんて思っていない人間の方が圧倒的に少ないのだから。

準備もそこそこに袴の入った鞄と弓具を引っ提げて、家を出た。

玄関を開けて視界いっぱいに広がるのは安っぽいアイスキャンディーのような淡い水色よりも、もっと晴れやかな8月上旬の夏空。
入道雲が聳え立ち、自転車を漕いだ際の風が唯一滲む汗から気を紛らわす清涼剤となる。

住宅街から一度出れば、そこはもう眠りから覚めた…否、最初から眠ってなどいない大都会だ。

忙しなく働く大人達。
彼らはもう、自分達のような青春に浸る時間も余裕も残されていない。
成長とは、時間とは…それらは公平に平等であり、それと同時に酷く残酷だ。



嗚呼、本当に…

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