真冬に咲く薔薇 (ページ6)

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JY

日付はとっくのとうに変わっていて、後ろに乗っているジェヒョナとマークはイヤホンをつけながら夢の中に入っている。

「…そんな見ないで下さい。ぜひ寝て下さい」

「寝れないから見てるの」

この子の距離感の詰め方は絶妙だった。

近すぎず、遠すぎず。

仕事をする上で、マネージャーとの信頼関係は絶対だ。

ただ自分の立場を理解しているからか、基本的に一歩引いて僕達を後ろから支えてくれている。

普通の女の子だったら、仕事でもアイドル相手に浮つくこともあるだろうに、この子からは一切感じられない。

あまり出会ったことないタイプに、1人の人間として興味が湧くのは至って普通の事でしょ？

「ひと段落したら、コーヒーでも飲みに行こうか」

「それは、ソ・ヨンホからのお誘いですか？」

ハンドルを握ったまま少しだけ笑うレイは、人通りのない夜の街にあまりにも溶け込んでいた。

「ジャニからだったら？」

「そしたら、100%断りますね」

この子だから、イスマン先生は僕達につけたのだろう。

仕事に誠実で、この短期間で信頼を勝ち取った彼女を。