真冬に咲く薔薇 (ページ21)

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YT

この理不尽が充満する世界で、穢れずに真っ直ぐ支え続けてくれる俺達のマネージャー。

『悠太には、自分の望んだ道だけを歩んで欲しいから』

彼女の言葉に背中を押される事は多くて、胸にストンと落ちてくるこの感覚は、何年か前にも味わった気がする。

ベットから起き上がって、椅子に腰掛けているレイの側によると、不思議とあの日の光景が蘇って来た。

『君は蝶のように世界を舞い、星のように輝ける。
そんな人になるって未来の私が言ってるんだから、大丈夫』

月末評価でボロクソに言われて落ち込んでいた俺に、声をかけてきたあの人。

交わした言葉は多く無いけれど、当時の俺は間違いなく救われて、今でも辛い時は思い返す。

それ以来顔を合わせる事はないまま、あの人は天国へ旅立ってしまった。

『悠太？』

思ったより近くから聞こえて来た声に、咄嗟に距離を置く。

『…頭少し冷えたわ。ありがとうな』

この突っ掛かりの原因を知るには、少し時間が必要だ。

ともかくレイの言うように、今は自分の出来ることやるしかない。

ウィンウィンが帰ってこれる場所を、無くさないように。

…守り続けられるように。