コンビネーション【短編集】 (ページ15)

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きっと、支える。【柳田】ページ15

「二大エース」

「慶應プリンス」

その彼は、感情を表に出さない人。

「ねぇプリンス～」

柳「プリンスって呼ぶな(笑)」

「イケメンさん～」

柳「イケメンとも呼ぶな。嫌なんだよ、そうやって言われるの」

「なんで！？」

柳「そもそもイケメンってなんだよ。プリンスってなんだよ(笑)俺別に普通じゃん」

「みんなからしたらイケメンなんでしょうよ」

柳「それがよく分かんないんだって(笑)」

「贅沢だなぁ～。いいじゃん！褒められてんだから！素直に受け取りなよ」

そう。彼はイケメンとか
プリンスと呼ばれる事を嫌う。
イケメンじゃないからとか、
馬とか乗らねーしとか言ってるくらい。

柳「会場に来てくれる人たちでさ、純粋にバレーが好き。この人の技術が好き。っていう理由で応援に来てる人ってどれくらいなのかな」

「それは…分かんないけど」

柳「チームを応援してんのか、ただ顔が好きで来てんのか…分かんなくなる時がある」

「お客さん来て欲しくないの？」

柳「よく分かんね」

一般的にイケメンと言われ、
祐希と２人でプリンスと言われるマサ。
それは本人も納得のいかないことだった。

前からチヤホヤされるのは嫌だって
マサは言ってたけど、
そこまで考えてたとは。

「マサの言うこと、わからんでもない。でも、どんな事情であっても応援してくれてることには変わりないんだから。点数入れば思いっきり喜んでくれるでしょ？素直にありがたいって思っていいと思うよ？」

柳「んー…」

「技術を好きで居てくれる人だっているんだから！そんな謙虚なこと考えなくていいよ」

柳「なんか、…さんきゅ」

「いいってことよ！」

マサはいつもそうだ。
冷静で、ブレたりしない。

でもその内側で
いろんな葛藤がある。
というか葛藤してる。

「マサはいい人なんだから！」

柳「…お前もプリンスって呼ぶ？(笑)」

「呼ばねーわ(o言o)」

柳「じゃあイケメン？(笑)」

「もっと呼ばねーわ(o言o)！！」

冷静沈着なエースのあなたは
たまーにこうやって謙虚になる。

謙虚になって、突然落ち込んでしまう。

でも、あたしはそんなあなたを
きっとこれから守りたいって

さりげなく、神様と約束してみた。