溺愛される鬼少女③ (ページ12)

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焼き芋③ ページ12

実弥 side

確実に避けられてる。
なんだよ、あの分かりやすい嘘はよォ。

悲鳴嶼さん困ってんじゃねぇか。

「あら、不死川さん。Aに何かしました？」

「…その刀をやめろォ」

焼き芋に毒盛るつもりかよ。
焼き芋を刺そうとする胡蝶。

まあ、したんだけどな。

「じゃあ話してください。昨日からあの子変なんですから」

「…アイツに接吻した」

「それだけじゃないですよね？ちゃんと話してください」

言ったら俺死ぬかもしれねぇけど
言わなくても死ぬかもな。

毒で。

「…舌を入れたァ」

「…どうやら私の耳は不調なようですのでもう一度お聞きしてもよろしいですか」

「だからァ、舌を入れたんだよ！」

そう言うと黙った胡蝶。
恐る恐る顔を見るといつも通り笑って…

「死に方を選ばせてあげましょう」

目が笑ってねぇよ。

「悪かった…」

「不死川さんの気持ち分からなくもないですよ」

「は？」

「Aはライバル多し。ですからね」

Aの事を好きなやつはたくさんいる。
まあそうだろうけどよォ。

「けど、舌を入れるのは人としてどうかと思います」

こいつは言葉まで毒盛ってんじゃねぇか。
避けられたのは間違いなくアレのせいだけどな…

「…謝ってくる」

避けられるのはさすがにキツいしな。

「謝って済む問題でも無さそうですけどね」

と言った胡蝶の言葉は聞かないことにした。

・

A side

ガシャッ

「何の音…っあ、義勇さん」

「？？？」

義勇さんが帰ってきたらしい。
すごく混乱してるけど。

周りを見渡して深呼吸したかと思うと

「…疲れているのか、俺は」

なんて言い始めた。
お気の毒に…

「義勇さん、おかえりなさい」

「？？疲れすぎてAが見える…」

「本物ですよ」

と言うと抱きついて来た。

「嫁に来い」

本当に疲れてるなこの人。

「悲鳴嶼さん、運んであげてください」

「…Aから離すためだ、仕方なし」

と言いながら運ぶ悲鳴嶼さん。
さすが力持ち。