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Aの傍でいつまでも手を握ったままでいたいのは山々だが、Aが風邪をひいている分やらなければならないことは沢山ある。炊事、洗濯、掃除、彼女が来る前は夏油がやっていたことだったため、特に困ることは無かった。
掃除と洗濯は午前中に済ませていたので夕飯の準備をする。美々子と菜々子のためにハンバーグを作り、彼女にはお粥を作る。
「はい、どうぞ。」
「ハンバーグだ!」
「夏油様は食べないの?」
「私はAにお粥を持っていかないといけないからね。後で食べるから、悪いけど二人で先に食べてて。」
「なら私、お姉ちゃんと食べたい!」
「私も!」
「でもなぁ……風邪が移るといけないし……食べてる間はマスクしてられないだろう?」
「じゃあ、すぐ食べるから持ってくの待って!」
「……分かった。じゃあ私も先に食べるとするよ。」
美々子と菜々子は余程彼女に会いたいようで、それが分かった夏油は諦めることにした。3人でご飯を食べて、お粥の乗ったトレーと薬を持って彼女の部屋のドアを開ける。
「A、起きて。A。」
「…ん…?」
「お粥、持ってきたんだ。食べれる?」
「…す、こし…なら…」
「お姉ちゃん大丈夫……?」
「どこか痛い……?」
「頭と、喉……でも大丈夫…すぐ良くなるよ。」
そう言って、彼女は体を起こすと、二人を安心させるように優しく頭を撫でた。
「私たち、お姉ちゃんに折り紙おったの!桜!」
「私はチューリップ……!」
「ありがとう…これならすぐ良くなるよ。」
「やったね、美々子!」
「うん、!」
「良かったね、二人とも。さ、次は私からだよ。熱いから気をつけてね。それとも食べさせてあげようか?」
「……食べれるってば。」
「ははっ、ごめんごめん。」
お粥の入った器を渡すと、彼女は折り紙をサイドテーブルに丁寧に置いて器を受け取る。ふーっふーっと冷まして、小さな口にスプーンを入れる。
「…おいしぃ…」
「ふふっ、それは良かった。」
「…でも…あつい…」
「ちゃんと冷まして食べな。」
「私がふーふーする!」
「私もする…!」
そういった二人にスプーンを向けると、ふーっふーっと冷ましてくれる。それが可愛くて、Aの口角が少しだけあがった。
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まゆゆ - 続編ですか! これからも頑張ってください(≧▽≦) (2021年3月13日 20時) (レス) id: 65cce41a2e (このIDを非表示/違反報告)
低体温(プロフ) - 更新される度読むのが楽しみです!!更新頑張ってください!! (2021年3月6日 4時) (レス) id: df64c86b58 (このIDを非表示/違反報告)
ぬっさっさ - めっちゃ好きです!!更新頑張ってください! (2021年2月24日 21時) (レス) id: 092bd421d4 (このIDを非表示/違反報告)
雪マカロン - 面白いです!更新頑張ってください! (2021年2月23日 16時) (レス) id: c9091179e7 (このIDを非表示/違反報告)
郡(プロフ) - こういう系のお話めちゃめちゃ好きです! 推します! (2021年2月23日 15時) (レス) id: 70b578b6e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年2月23日 12時