・22 ページ22
その日も夏油はソワソワしていた。Aが初めて夏油の仕事を手伝う日。Aは信者の相手役をする事になった。初日からとんだ大役を任せてしまったか…?と少し後悔。傍で仕事をしていた菅田はそんな夏油を見てため息をついた。
「心配ですか?」
「あぁ…彼女、どうだった?」
「とても手際よく仕事をしていますよ。笑顔で。」
「………笑顔で?」
「はい、笑顔で。」
「………ちょっと様子見に行こう。」
「最初からそうすれば良かったんですよ。」
とうとう動きだした夏油は物陰からチラッと彼女の様子を見ていた。
「おや、君新しい子かい?」
「はい、本日よりこちらの職員になりました。
彼女は少し太り気味の信者に笑顔で名刺を渡した。
花園という苗字は、夏油と言ってしまうと面倒臭い信者も居るだろうと言うことで使わせた偽名。
「……笑顔が上手くなってる。」
この数日であそこまで仕上げるとは……凄いな、と感心してしまう。
「いやぁ、君のような可愛い子がここで働いてるなんて……私も最近友人の誘いで通い始めたんだが……入信してみようかな!」
「ありがとうございます!ただいま入信手続きの御準備をさせていただきますので、お待ちください。この後、新しく入信された信者様に向けたガイダンスがございますがご出席なされますか?」
「そうさせてもらうよ。」
「かしこまりました。それが終わるまでに御手続きの準備をさせていただきますので、あちらの扉にお入りください。30分後にガイダンスが始まります。」
最後まで笑顔で貫きとうした後、彼女はその場を離れて裏に戻った。スンッと笑顔が消えて、ため息をついた。
「お疲れ様。」
「あ、傑さん。」
「心配で様子を見に来たんだけど……大丈夫そうだね。」
「うん。でも顔が痛い。」
「そのうち慣れるさ。困ったことはない?」
「今のところは何も。」
「そうか、それは良かったよ。困ったことがあったら言うんだよ?」
「うん。あ、除菌してくる。」
「うん、そうしな。」
除菌消臭は忘れずに。彼女は夏油のその行動を知っていたためか、非術師に会ったあとはその後会う予定がなかろうとも必ずそれを怠らない。神経質、とはちょっと違うが夏油にとても忠誠的だ。
「うん、特に心配はなさそうだね。」
夏油はホッと胸を撫で下ろした。
1148人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まゆゆ - 続編ですか! これからも頑張ってください(≧▽≦) (2021年3月13日 20時) (レス) id: 65cce41a2e (このIDを非表示/違反報告)
低体温(プロフ) - 更新される度読むのが楽しみです!!更新頑張ってください!! (2021年3月6日 4時) (レス) id: df64c86b58 (このIDを非表示/違反報告)
ぬっさっさ - めっちゃ好きです!!更新頑張ってください! (2021年2月24日 21時) (レス) id: 092bd421d4 (このIDを非表示/違反報告)
雪マカロン - 面白いです!更新頑張ってください! (2021年2月23日 16時) (レス) id: c9091179e7 (このIDを非表示/違反報告)
郡(プロフ) - こういう系のお話めちゃめちゃ好きです! 推します! (2021年2月23日 15時) (レス) id: 70b578b6e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年2月23日 12時