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ここ最近は凄く任務を詰めていた。それには五条も気づいていた。その理由は様々だろうが、もうトレーニングだけでは間に合わないという彼女の焦りの現れだった。早く、早く、早く強くならないと。その焦りがどんどん彼女を追い詰めていた。
別に五条が怖い訳では無い。母親のこともかすかに記憶があるだけで、顔なんて覚えていない。でも、何故か分からないけど、あの時の母親と重なった気がして、身体が拒絶反応を起こした。
今までのストレスも重なって、それにより起こった過呼吸だろう。
「……あの人がなんで怒ってたか分かるか。」
「………ん。」
「……分かってんならいい。……あの人は、なんの理由もなくお前に手を上げたりしない。どうしたらいいか分からなくて、なんて声をかけようかって考えるよりも先に思わず手が出たんだと思う。……まぁ、親としてはどうかと思われる行動だけどな。」
きっと感情が昂って、思わず出てしまった行動だろう。死んで勝つことと、死んでも勝つこと、その違いは彼女にもよく教えていたはずだった。それをどうしても伝えきれなかった自分にも腹が立って、本当に思わずだったのだろう。
誰に限っても思わずで済む行動かと言われればそうでは無い。でも仕方ないといえばそうかもしれない。難しい問題だった。それを分かっているからどうしていいのか余計に分からない。伏黒はもう一度彼女を抱きしめて、頭を撫でた。
「…………あの人が………五条さんが怖いか。」
「…………わ、かんな…………」
「…………そうか。なら、それでいい。ただ……あの人がお前を大事にしてるってことだけは忘れるなよ。忘れちゃダメなことだから。」
どれだけ大事にされてるかなんて誰が見たってわかる。もしも彼女が死んだら、
「…………A?」
少し重く、と言ってもさほど変わりはないが、先程よりもかけられた体重と脱力した腕に眠ったのだとすぐに分かった。
医務室のベットに横にして布団をかける。頬の赤みは先程よりはマシになったようだ。
「…………おやすみ。」
そう呟いて優しく頭を撫でる。五条の様子を見に行こう、と家入宛に置き手紙を残して医務室を出た。
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emma(プロフ) - 初めまして!この作品が大好きです!結婚で騒ぐけどバージンロードきめきめで歩いちゃう悟パパも、なんなら妊娠で絶望するけど孫にデレデレになっちゃう悟じいじも見たいです!!笑 (2021年7月10日 23時) (レス) id: 4643ab1372 (このIDを非表示/違反報告)
朱夏(プロフ) - 初めまして!初めてコンメントさせていただきます!この作品ほんとに大好きで、特に伏黒くんとくっつくところはもう死ぬくらい好きでしょうがないんですよね!だから結婚後まで書いて欲しいです!いくら長くても付き合います!主様が良ければ書いて欲しいです! (2021年7月10日 22時) (レス) id: c2a1b68a40 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 結婚まで続けて欲しいです! (2021年7月10日 22時) (レス) id: 947326f28f (このIDを非表示/違反報告)
かれ(プロフ) - 初めまして,いつも楽しく拝見させていただいています。個人的にはこのまま伏黒との結婚まで続いてほしいなぁという思いです。作者さんの作品は誰も死んだらしないので悲しむこともなく安心して読めます。これからも無理のない程度に投稿してもらえたら嬉しいです。 (2021年7月10日 22時) (レス) id: 0a939cc9b5 (このIDを非表示/違反報告)
らっかせい - 続いて欲しいですわー!!いつも観てますーー!!お久しぶりですーー!!(語順逆で.すいません) (2021年7月10日 21時) (レス) id: ac50ef14ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年6月12日 2時