・12 ページ12
1989年9月19日。凍氷昭義13歳、凍氷慶彦10歳、凍氷雅志8歳。
凍氷家に初の女の子が誕生した。それも、異能を持って。
「A様は凍結呪法をお使いになるんですって!」
「まぁ……!」
その屋敷の使用人は優しい人もいれば厳しい人もいる。御三家に使えているような意地の悪い人間もいる。
もちろんそれは、伝統的な術式を使えるようになったAと他の子供たちを差別したりする人間もいるということ。しかし、彼らはそんなこと全く気にしなかった。
「Aは可愛いな〜」
「手袋を貰ったの?よかったね、A。」
「A、兄さんと遊ぼう!」
3人の兄は初めての妹を可愛がった。しかしいつからだろう。どす黒い感情が雅志の心を渦巻くようになったのは。
「雅志様は未だに術式が使えないそうよ。」
「昭義様も慶彦様も、あんなにご活躍されているのに……まだ6歳のA様だって使えるのよ?」
雅志は周りよりも術式を身につけるのが遅かった。それにより、使用人たちにコソコソと嫌味を言われることは少なくなかった。
「A様が次期当主?女の子なのにすごいわ〜……!」
「慶彦様は特級になられたそうよ!」
「雅志様はまだ準二級?」
「今査定中らしいけど……どうなる事かしら。」
「昭義様、一級になったんですって!」
「雅志様はやっと準一級に推薦されたとか……ほんとに進級できるの?」
「全てに関して、周りより劣ってるわよね。」
「そのうち、聖志様たちにも越されてしまうんじゃないの?」
Aに敵う事といえば体術くらいだ。それ以外は全て劣る。妹であり、女である彼女に全てが劣る。それどころか他の兄弟にも劣る。既に死んでしまった慶彦よりも劣っている。そう言われ続けてきた。
そして下の弟たち。彼らも凄まじい成長を見せた。いつか下の彼らにも追い越されてしまうのではないか。そうなれば自分はどうなる。ついには親にも見離されてしまうのか。
双子の妹にも先を越されてしまったら。どうする……?
「…………あ。」
首と体が離れてしまった父。手には刀。あぁ、やってしまった。無意識だった。聖志は必死に父の体を揺すり、太輔は怯えたように自分を見る。昭義は、目を見開いてありえないと言うように自分を見た。
「ち、父上……!!」
「う……ぁ……あぁ……!」
「……おま……え……なにを……!」
___あぁ、そうだ。
みんな殺してしまえばいい___
1440人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
moo(プロフ) - まさかの展開に驚きました!幸せ家族で良かったです! (8月9日 3時) (レス) @page46 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
43yomi1(プロフ) - いきなりすみません…すっごく面白くて、楽しませて貰ってます!!応援してます!!更新頑張って下さい! (2021年3月3日 9時) (レス) id: 674eb44c7b (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - 多分ですけど上の連中が練習になってます! (2021年2月26日 23時) (レス) id: 46e621c864 (このIDを非表示/違反報告)
Tyina(プロフ) - 花蛸花さん» わざわざありがとうございます!そのお話、楽しみにしてます!! (2021年2月26日 0時) (レス) id: 7eae784acc (このIDを非表示/違反報告)
Tyina(プロフ) - あの、質問なんですけど、いつ美々子と菜々子を助けたんですか?最新読んで「その話あったかな……?」と思ってしまいまして……夏油さん推しなのでみんなハッピー状態なのがすっごい見てて幸せになりました!! (2021年2月25日 22時) (レス) id: 7eae784acc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年2月22日 2時