・44 バレンタイン編 ページ44
｢おい、クズ共。ほれバレンタイン。｣
｢そんな渡し方あるか普通。しかもなんだこれチロルチョコじゃん。｣
｢文句言うな。｣
家入が彼らに投げやったのはコンビニなどでお手軽に帰る小さなチロルチョコの詰め合わせ。小さな子供用に母親が買って帰るようなものだった。クズ共にはこれで十分だ、と家入は適当にコンビニで買ってきたようだ。
｢あははっ、じゃあ僕からのチョコもあげるよ。これは硝子の分。ビターなやつを選んだよ。｣
｢ありがとね。はいこれAの。｣
｢いや、Aのやつはめちゃくちゃちゃんとしてんじゃん。｣
｢当たり前だろ。｣
一方彼女の分といえば、デパートでそれなりに値の張るようなチョコレートだ。彼女が好きそうな甘いミルクチョコレートを選んだ結構奮発したやつ。
｢これが悟の分。そして、これは傑。｣
｢ありがとう。大事に食べるよ。｣
3人はガサガサと袋を開けて、中からチョコの入った箱を取りだした。
｢これめっちゃいいとこのやつだ。｣
｢その中でも限定品じゃん………ん？｣
｢………？私だけ中身が違う……？｣
｢あはは……限定品の方が、やっぱり良かった？｣
夏油のものだけ明らかに箱の色も形もちがければ、ブランド名も書いていない。それだけで、手作りなんてことはすぐに分かる。Aが少し不安そうに夏油の顔を覗き込むと、夏油は恥ずかしそうに左手で顔を覆った。
｢…………嬉しい。｣
｢本当？それは良かった！初めて作ったから、味の保証はしないけどね。｣
｢いや……嬉しいよ。私だけってのが尚嬉しい。｣
｢イチャつくなら他所でやれ〜｣
｢浮かれてんなよ前髪。浮かれまくって振られてしまえ。｣
｢なんで？？？？？｣
喜んでもらえてよかったよかった、とAは満足気だった。
｢……うわ、可愛い。｣
その日、寮に帰って箱を開けると、めちゃくちゃ中身が可愛くてさらに悶える。これを自分のために……と思うと愛おしさが溢れてくる。マーブル柄のチョコを手に取り、口に放り込む。
｢…………甘い。｣
甘い物は可もなく不可もなくの夏油だが、そのチョコだけは永遠な食べられる自信しかなかった。ホワイトデー、何を返そうかと、今から悩んでいた。
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チビじゃねぇし、お前らが高すぎんだよ。♂ - ガチめに笑い方が宿儺になったのだが (2021年2月14日 4時) (
レス) id: 175edfd33c (このIDを非表示/違反報告)
ta0628tm0105(プロフ) - 次男…………なんかあった説…………最っ高、であります！！！良い良い！！俺はいま機嫌がいい！！！！ケヒッもう、最っ高…………続き待ってます！ (2021年2月14日 3時) (レス) id: 0ed1a1911f (このIDを非表示/違反報告)
rindou0505(プロフ) - とっても凄く好きな内容でした。本当に素敵な作品です。なんでお気に入りの登録者がこんなにも少ないのかが全く理解出来ません。が、応援しています。お身体に気を付けて作品の更新をして下さい。 (2021年2月10日 0時) (レス) id: abbbc2a66d (このIDを非表示/違反報告)
しぃぷ(プロフ) - え、めっちゃ好き……最高か？秒でお気に入り登録しました。素敵な作品有難う御座います！！更新頑張って下さい！！！ (2021年2月9日 23時) (レス) id: c3f6824249 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 最高ですめちゃくちゃ面白い…好き… (2021年2月9日 22時) (レス) id: 470bfeaa7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花蛸花
| 作成日時：2021年2月9日 17時
