・28 ページ28
｢執拗いんだけど。｣
｢お姉さん辛辣〜！｣
男は馴れ馴れしくも隣に座り、家入の肩に腕を回した。その様子にAの目がギラリと光る。
｢いでで……っ、！｣
ギリギリと音を立ててその男の腕を捻りあげると、男は顔を歪ませた。
｢馴れ馴れしく彼女に触れないでくれるかな。……人が下手に出てりゃ付け上がりやがって。｣
低い声。睨みつけるその目。今までにこやかに笑っていたのが嘘のようだ。その目に、表情に、男たちは怯えていた。彼女がパッとその手を離すと、その男は手を擦りながら彼女を睨んだ。
｢っ、てめぇ、嘗めやがって！｣
｢嘗めてなんかないよ。お前らが大人しく引き下がればいいだけの話だからね。｣
そう言って彼女はニッコリと微笑んだ。ただ、目が笑っていない。その表情は家入さえも見た事がなくて、へぇ……と興味深そうにその様子を見ていた。
｢この……！！！｣
｢何してるのかな。｣
その男の後ろから声をかけたのは、両手にクレープを持った夏油と五条だった。
｢あぁ、傑、悟。｣
｢お待たせA。はい、いちごブラウニー。｣
｢ありがとう。｣
｢で、こいつら誰？｣
｢私らと遊びたいんだってさ。｣
｢へぇ……？だってよ悟。｣
｢どんな遊びか俺らにも教えてくれよ。｣
その男たちよりもずっと背が高い二人に睨まれて、男たちはジリジリと後ずさると情けなく逃げていった。
｢何もされてない？｣
｢僕は何も。硝子が肩を触られていたくらいかな。｣
｢お前らナンパするとか見る目無さすぎだろ。｣
｢うるせぇクズ。とっととクレープ寄こせし。｣
｢あ、傑。クレープいくらだった？｣
｢いいんだよ。最近忙しそうだった君へのご褒美ってことで。｣
彼らはベンチに並んで座り、クレープを食べる。その時、隣にいたAがかじったところと、自分のかじったところを見比べる夏油。
｢(……一口ちっさ……！)｣
額に手を当てて上を向く夏油にAは首を傾げる。
｢どうしたんだい、傑。｣
｢いや……今噛み締めてるところだから。｣
｢クレープを？｣
｢……胸キュン……？｣
｢え？｣
｢夏油、その気持ちわかる。｣
｢凄くわかる。｣
｢ほんと君たちたまに分からない。｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1407人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チビじゃねぇし、お前らが高すぎんだよ。♂ - ガチめに笑い方が宿儺になったのだが (2021年2月14日 4時) (
レス) id: 175edfd33c (このIDを非表示/違反報告)
ta0628tm0105(プロフ) - 次男…………なんかあった説…………最っ高、であります！！！良い良い！！俺はいま機嫌がいい！！！！ケヒッもう、最っ高…………続き待ってます！ (2021年2月14日 3時) (レス) id: 0ed1a1911f (このIDを非表示/違反報告)
rindou0505(プロフ) - とっても凄く好きな内容でした。本当に素敵な作品です。なんでお気に入りの登録者がこんなにも少ないのかが全く理解出来ません。が、応援しています。お身体に気を付けて作品の更新をして下さい。 (2021年2月10日 0時) (レス) id: abbbc2a66d (このIDを非表示/違反報告)
しぃぷ(プロフ) - え、めっちゃ好き……最高か？秒でお気に入り登録しました。素敵な作品有難う御座います！！更新頑張って下さい！！！ (2021年2月9日 23時) (レス) id: c3f6824249 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 最高ですめちゃくちゃ面白い…好き… (2021年2月9日 22時) (レス) id: 470bfeaa7b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花蛸花
| 作成日時：2021年2月9日 17時
