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「さっきの、結局なんだったんだ?」

「身体にいい食事のメニューです。あれだけ痩せていたら、治るものも治らない。」

「敵に対して随分と甘いな。」





Aは昇降機の外へと目を向けたままだ。そのまま、少しの間の後口を開く。





「別に、甘い訳じゃないです。昔に喘息の友人がいたので、少し詳しいだけです。」

「今その友人は?」

「死にました。」





彼女の表情は無だった。ただ、その黒い瞳で外を見ている。中原が声を掛けようとしたのと同時に、昇降機が止まる。扉が開くと同時に黒服たちが此方に銃を向けたが、それが直ぐに降ろされる。





「……首領に挨拶に行くぞ。茶会はその後だ。」

「はい。」





中原に続いて昇降機を降りる。あの日と同じように叩敲をすれば、その日はちゃんと返事が返ってきた。中に入ると、あの日とは打って変わって真面目に執務机に向かう森の姿があった。窓は綺麗に修復されている。





「やぁ、Aちゃん。また会えて嬉しいよ。」

「私はそうでも無いですよ。」

「ふふ、いいね、やはり欲しくなるね。」





森がくつくつと笑う。然し、今日の目的はそれではない。






「エリスちゃんの要望に応えてくれてありがとう。エリスちゃんも紅葉くんも、きっと喜んでくれるね。」

「それはどうも。」

「窓を割った件は今日のことでチャラ……と言いたいところだけど、あの日の事は目を瞑るとしよう。という訳で、何かお礼をしなければね。君が断っていたら、エリスちゃんのご機嫌が斜めになっていた所だよ。」

「断った所で無理に連れてくるつもりだったでしょうに。白々しい。」





Aがやんわりと笑みを浮かべてそう言うと、森は只々笑うだけ。「何か欲しいものは?なんでもいいよ」森の言葉に、Aは少し考える。





「……では、一つお願いを聞いていただけますか。」

「勿論だとも。」

「ポートマフィアの情報管理室を拝見させてください。」





森は勿論、中原も目を見開いた。

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眠いちゃん - 続き楽しみにしてます! (2023年3月3日 14時) (レス) id: acdc06f415 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 面白いです!続き待ってます! (2023年2月3日 5時) (レス) id: 846f3d2d4a (このIDを非表示/違反報告)
- とても話がわかりやすく面白いです!!続き待ってます!! (2023年1月7日 23時) (レス) @page28 id: d9cbcf96d1 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 面白いです‼︎応援してます (2022年12月27日 15時) (レス) @page28 id: a32747b1ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年5月29日 16時

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