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ポートマフィアの楼閣は何度見ても大きい。広い中を、なるべく人目に付かぬように歩いていく。昇降機を乗り継いでいくと、扉の開いた先には、黒い外套の男の姿があった。その男の顔には見覚えがあり、彼女は暫く考える。





「よぉ、芥川。同乗していいか。」

「僕は少しも。降りましょうか?」

「いや、構わねぇよ。おら、乗れよ。」

「失礼します。」





昇降機に乗った所で、「あぁ、指名手配されてる男か」と納得した。指名手配犯が目の前にいるというのに、彼女は落ち着いていた。暫く静かだった中で、芥川と呼ばれたその男が口を開く。





「その小娘はポートマフィアに加入が決まったので?」

「いいや。あろう事か首領の執務室の窓を破壊して逃亡したが、今日は別件だ。エリス嬢が此奴を茶会に招待したんだよ。」

「茶会に……ですか?」

「あぁ。紅葉の姐さんもこの嬢ちゃんをお気に召したらしい。」

「なるほど……げほっ、げほ、」





芥川が咳き込む。Aがそれをじっと見ていると、芥川は目を細めて「なんだ」と呟いた。





「いえ。風邪ですか?」

「話す義理はない。」

「世間話ですよ。咳の具合からして、喘息に近いものでしょうね。」

「………」





分かってるなら聞くな。そんなオーラを漂わせる芥川など気にもとめず、Aは内衣嚢から手帳を出し何やら控書をしたかと思うと、それをちぎった。






「どうぞ。」

「……何だこれは。」

「読めば分かりますよ。」





芥川は警戒した様子だった。「とりあえず貰っとけよ。連絡先かもしれねぇぜ?」「そんなわけないでしょう」「なんだ、口説いてるんじゃなかったのか」中原が笑うと、Aはジト目でそれを見ていた。幹部の言葉であれば仕方ない。芥川はそれを受け取った。それと同時に昇降機が止まる。





「失礼。」

「おぉ。」






芥川が昇降機を降りると、彼女は後ろから「お身体ご自愛くださいね」と声をかける。その後すぐ、昇降機の扉が閉まった。芥川は振り向くことなく二つ折りにされた控書を開く。そこには、咳にいい食事のメニュー等が書かれていた。

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眠いちゃん - 続き楽しみにしてます! (2023年3月3日 14時) (レス) id: acdc06f415 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 面白いです!続き待ってます! (2023年2月3日 5時) (レス) id: 846f3d2d4a (このIDを非表示/違反報告)
- とても話がわかりやすく面白いです!!続き待ってます!! (2023年1月7日 23時) (レス) @page28 id: d9cbcf96d1 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 面白いです‼︎応援してます (2022年12月27日 15時) (レス) @page28 id: a32747b1ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年5月29日 16時

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