坂口(妹)-2【文スト】 (ページ15)

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｢ここだ。｣

｢……随分と大きな扉ですね。その上頑丈。｣

Aは指先でその扉を撫でた。｢殴ったりすんなよ｣｢する訳ないでしょう｣無闇に叩いたりすれば警報がなるに決まっている。そんなの考えれば分かる事だ。彼女はため息を着く。

情報管理室の部屋のパスワードは準幹部以上の人間と関係者にのみ知らされる。然しAはそれに興味がなさそうにして、中原がパスワードを打ち込む姿にも興味を示さない。

｢……意外だな。普通こういうの知りたがるもんじゃねぇの？｣

｢別にそんなもの無くても簡単に開きますし。｣

｢………お前ってなんつーか………なんかもっとねぇのか？自慢気な顔くらいしろよ。｣

｢別に自慢するほどのことでも……｣

｢………もう、なんか…いいわ、うん。｣

中原は何とも言えないような顔でパスワードを打ち込み、ロックを解除した。重たい扉の先には、沢山の棚と、大きなスクリーン。それを囲むように沢山のキーボードやパネルが並んでいた。その他にも沢山のコンピューターが並べられており、その数台で情報管理に特化した構成員が作業をしていた。

｢ここが情報管理室だ。｣

｢……立派ですね。｣

｢まぁ、組織の中でも特段貴重な情報を管理する部屋だからな。｣

此方をちらちらと伺う構成員に気にするな、と合図を送れば、構成員たちは再び仕事へと戻っていく。幹部が女を連れて突然訪れて来れば、それは目立つに決まっている。中原はため息をついたあと、彼女の方を伺ったあと目を見開いた。

彼女はきらきらと目を輝かせて機材を見詰めている。この美しい振袖にも、沢山の果物が乗った西洋菓子にも興味を示さなかった彼女が、こんなものに興味を示す。普通の女子高生なら、きっと真逆の物を好む筈だろうに。

｢……ちょっと触ってみるか？｣

｢……！宜しいんですか？｣

｢少しなら構わねぇ。首領からお許しも出てる。｣

中原は彼女を連れて大きなスクリーンモニターの前で止まる。｢ほら、触ってみろ｣と彼女を目の前に立たせる。Aは少しそれを見つめた後、その細く長い指でキーボードを叩いた。その表情は、今まで見たこともないほどに輝いている。

｢(なんだ、餓鬼らしい顔も出来んじゃねぇか。)｣

中原は小さく笑みを浮かべた。