坂口(妹)-2【文スト】 (ページ1)

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目を覚ますと、真っ白な照明(ライト)の光が視界いっぱいに広がって思わず顔を顰める。治療室だろうか。然し、それにしては異質な空間だ。

身体を起こそうとするも、四肢、腰元までを拘束されている。ここは探偵社だ。それに間違いはない。確かに気を失う前に探偵社と兄が目の前にいた記憶があるからだ。

｢お目覚めかい？｣

声の方へと視線をやると、そこにはにぃっと笑みを浮かべた与謝野の姿があった。

｢……これはどういう状況で？｣

｢おや、随分落ち着いてるねぇ。まぁいいさ。ここは見ての通り治療室だよ。今から治療を行うのさ。｣

｢治療するのになんで拘束が？｣

｢ふふふ………逃げ回られちゃ適わないからねぇ。｣

そう言って、与謝野は鉈を手に取ると、それを細い指先で撫でた。Aの顔色が変わる。

｢ちょ、ちょっと……！それどう見ても医療器具じゃないですよね！？｣

｢あんたの焦った顔を見るのは初めてだねぇ！いい顔するじゃないか！｣

｢そういう話をしているのではなく……！貴方解体でもする気ですか……！？｣

｢まぁ、それに近しいねぇ。でもこれは治療だよ。｣

与謝野はそう言いながら笑った。治療な訳あるか。鉈で治療する医者なんて見た事あるか？いいや、あるわけが無い。そんな医者いるならお目にかかりたいものだ。今現に、お目にかかっているところではあるが。

｢妾の異能『君死給勿』は、凡百外傷を治癒させる。治癒能力の異能は極めて稀少なのは、あんただって知ってるだろう？でもその分条件が厳しくってねぇ……瀕死の重症しか治せないのさ。程々の怪我を治そうと思ったら、まず半殺しにしなくちゃならない。｣

そんな荒療治あってたまるか。Aは身を捩らせるが、この拘束から逃げ出すのには時間を有する。何せ、本当に身動きが取れないのだ。

｢あんたは残念ながら瀕死の重症には至らないからねぇ。そういえば、左腕に弾が残ってるそうじゃないか。可哀想に……直ぐ楽にしてやるからねぇ。｣

｢こんな怪我如きで解体される方が可哀想ですよ……！！！貴方が言うと洒落にならない！！！｣

｢あまり暴れない方がいいよ。余計に痛くなるからねぇ。｣

｢ふふふ……｣と与謝野が笑みを零す。｢ひっ……｣とAの声がひくついた。そして、治療室に断末魔が響きわたる。

｢きゃぁぁぁあぁああああ！！！！！｣