捨てられた妹-7【文スト】

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｢ん〜…変わったと言っても小さな変化だし……特に大きな変わりはないわね。｣





彼女はにこりと笑って見せると、苺のタルトをぱくりと食べる。





｢それで構いませんわ！どう変わりましたの？｣





ナオミはやはり、うきうきわくわくとしている様子だ。普段大人びていて、自分と同じ程の齢でありながら、大人の色恋を経験してきたであろう彼女から恋愛話が出るというのは、なんとも新鮮だ。





｢そうねぇ……何から話そうかしら。｣





彼女は先日の任務の内容を、事細かに話すことは出来ずとも、軽く説明してみせる。｢ストーカー！？なんて奴だ！！！私の可愛いAに！！｣と騒いでいるがこの男も中々ストーカー上手である。それ故なのか、誰も反応を示さない。｢まぁ！それは大変でしたわね……｣と眉を下げて驚いているナオミに｢いつもの事よ｣と返すだけだった。





｢その時気が付いたのよね。この人の隣が一番しっくりくるって。御見合いをした彼と居る時も、なんだかしっくり来なくて、頭に浮かぶのはやっぱり中也さんだったかな。｣





彼女は困ったように笑った。それはまるで、照れているのを隠すかのようだ。初めて見る顔だ。太宰は口元を両手の指先で抑え、｢私の妹可愛い…！｣と目を輝かせている。相手が中原であるという事実だけが邪魔で仕方がない。そもそも妹にそのような想い人がいるという時点で無理だ。今にも死にそうな思いである。

過去に、若手会の一人であった広報官(リップマン)という男に｢将来結婚するなら広報官(リップマン)みたいな紳士的な人がいいわ！｣なんて言っていたのを思い出した。あの時はいつも以上に任務が手につかなくて森に同情されたのを覚えている。

それから暫くして、｢織田作みたいに優しくて一緒にいて飽きない人と結婚したいわ！｣なんて言ったことがあった。流石私の妹見る目がある、と賞賛を送りたい。





｢A……！なんて素敵ですの……！きっと、御二人なら上手くいくわ！ええ、きっとそうですとも！｣

｢ふふふ、ありがとう。正直私も上手くいく気しかないのよ。だって中也さんってすごくわかりやすいでしょ？｣

｢あら、わかるの？｣

｢つい最近ね。行かないてくれって引き止められた辺りかしら。｣





彼女は実に愉快だと言った様子でそう言った。もう太宰は失神寸前だ。そんな太宰に｢太宰さん！！しっかり！！｣と、谷崎が懸命に声をかけている。正直意識を保つのもぎりぎり。

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