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場所は変わり、迷える羊の拠点。出された紅茶を優雅に飲む彼女は、十年前よりもずっと大人だ。白瀬の記憶に間違いがなければ彼女は二十歳という事になる。まだまだ若い。自分たちよりも六つも年下の彼女だが、その彼女の頭脳が今のポートマフィアを作っていると思うと恐ろしくて仕方ない。





「で、遠路はるばる何しに?新婚旅行の片手間に僕に会いに来たわけじゃないんでしょ?」

「流石は長殿!よく分かっていらっしゃる。十年も経てば人間変わりますものね!」





彼女は嫌味ったらしく両手を合わせ、それを頬に寄せると首を傾げる。丁寧な言葉も全てが嫌味だ。生意気なところはちっとも変わっちゃいない。





「今日は、交渉をしに。」

「交渉?」

「今や、迷える羊は大きな組織。倫敦で知らぬ者も居ないでしょう。そこで、我がポートマフィアと協定を結ばないか、と思ってね。」

「協定ねぇ……」

「中原くん。」

「はい、首領。」





後ろに控えていた中原は、鞄の中から資料を取り出し、それを彼女に渡した。飽くまで、ここは首領と部下、という立場を弁えているらしい。仕事は仕事、それ以外はそれ以外。区別を付けるためだ。





「契約書に目をお通しくださいな。」





差し出された資料を手に取り、軽く目を通す。何方にも不利益のない契約だ。





「………もし断ったら?」

「まさか、貴方は断りませんよ。お忘れですか?……貴方が王様になるための手助けをし、助言をしたのは……どこの誰だったかな?」





遮光眼鏡(サングラス)という、彼女の瞳を妨げるものはそこにはない。きらりと怪しく光る、深紅と翡翠の瞳。





「……まさかお前、こうなる事を予想してた?」

「真坂!首領になるなんて思っても見ませんでしたし、貴方がここまで組織を大きくして下さるとも思いませんでしたもの。」

「詰まり、協定を結ぶところまでは計画内。」

「……貴方の頭も随分回るようになったようで大変結構。」





彼女は嫌味ったらしくそう言った。ムカつきながらも、白瀬は後ろに立っていた付き人らしき男からペンを受け取った。





「協定を結ぶ。但し、条件が一つ。」

「はい、なんでしょう?」





首を傾げるAに、白瀬は口角を上げた。





「結婚式の日取りが決まったら教えてよ。」

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Napia - 完結おめでとうございます!! お疲れ様です!! 毎週のように「更新してるかな?」とウキウキしながらみてました!! 番外編も読みますぅ!! (2022年4月26日 16時) (レス) @page37 id: bc58708f8e (このIDを非表示/違反報告)
あんころ(プロフ) - お疲れ様でした!完結おめでとうございます!ダントツで面白かったです!! (2022年4月23日 19時) (レス) @page36 id: 9e178210e2 (このIDを非表示/違反報告)
クリスタルパワー(プロフ) - 完結おめでとうございます!!いつも更新を楽しみにしてました!番外編があったら楽しみにしてます! (2022年4月23日 19時) (レス) id: 47ef91694a (このIDを非表示/違反報告)
向月葵(プロフ) - 完結おめでとうございます〜!最初の頃からずっと応援していたので、見届けられてほんとに嬉しいですし、めちゃくちゃ面白かったです!番外編も楽しみにしてますね。 (2022年4月23日 19時) (レス) @page36 id: b81c3ee352 (このIDを非表示/違反報告)
Hazuki(プロフ) - 凄く面白いです!15ページの「鼻歌」が「花歌」になっています…間違っていればすいません。これからも更新楽しみにしています!! (2022年4月21日 20時) (レス) @page15 id: 140c609c2d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年4月16日 11時

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