捨てられた妹-7【文スト】

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騒がしいヨコハマの街。その騒がしい街の中、美しい少女が二人、微笑み会いながら歓談している。その少女たちに、多くの男たちが振り向いた。

一人は年齢に似つかぬ色気のある少女だ。艶々とした長い黒髪、唇は肉感的であり、長い睫毛は瞬くたび音がしそうだ。瞳は大きく底知れぬほど深い。目元の泣き黒子が年齢に似つかわしくない色っぽさだ。

一人もまた、年齢に似つかぬ美貌の持ち主だ。長く絹の糸のように美しい金髪、唇は赤い口紅に彩られ、色素の薄い金色の睫毛は、黒髪の少女と同じほどに長い。 遮光眼鏡(サングラス)のせいで瞳はよく見えないが、ちらりと見えた深紅の瞳は宝石のようで、見るものを魅惑する。こちの少女にも、目元に泣き黒子があるようだ。





｢その御洋服、よく似合っているわ。｣

｢嬉しいですわ！選んでいただいたこのお洋服を着るの、ナオミ楽しみにしてたの！｣





魅惑的な、色気のあるほほ笑みを浮かべる金髪の少女＿＿＿＿A＿＿＿と、嬉しそうに笑う黒髪の少女＿＿＿ナオミ＿＿＿は確かに何方も歳不相応な顔つきではあるが、こうしてみると、やはりナオミには年相応のあどけなさが残ってしまうため、二人並んでいると、Aの方が幾分か年上で、ナオミは年相応に見られるようになる。決して老けている、という訳ではなくて、彼女が大人びすぎているのだ。

然し、彼女らにはそれぞれ色気が備わっている。彼女らの深く美しい瞳を初心な少年が不用意に覗き込めば最後、めくるめく妄想の世界に囚われて出られなくなり、血流を一部に集中させることは必定である。

おまけに、Aは唯の少女ではない。その道に関してはポートマフィアの中でも群を抜く専門家(プロ)だ。その仕草が、言葉が、微笑みが、全てが相手を魅了させ、妄想の世界に引きずり込むことなんて造作もない。

そんな二人が何故共に居るのか。それは、今日がナオミの提案した二重逢引(ダブルデート)の日だからだ。ナオミが突然｢逢引といえば待ち合わせですわ！｣と言い出したのが事の発端である。じゃんけんをして勝った方が先に集合地点に行く、というものであり、谷崎とじゃんけんをして見事にナオミが勝ってしまったので、こうして二人で兄達を待っているのだが、兄達は逢引前日まで｢やはり自分たちが先に｣｢いややっぱり一緒に｣と騒いでいた。その理由は一つしかない。





｢君たち誰かと待ち合わせ？｣






そう、軟派(コレ)である。

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