・26 ページ26
治療中のランプが消えて、血の着いた手袋を外しながら家入が出てきた。
｢硝子、Aは…！｣
｢落ち着け、大丈夫だよ。真希も来てたの。｣
｢あぁ、あいつがやばいって聞いて…｣
｢大丈夫だよ、命に別状はない。でも治療中意識がなくなって、今はまだ目が覚めていない。多分出血が多すぎたせいだと思う。そのうち目は覚めるさ。｣
｢…生きてはいるんだよね？｣
｢さっきからそう言ってるだろ。起きてしばらくは目が見えないかもしれないが、しばらくすれば見えるようになる。今はまだ会えないから、目が覚めたら連絡するよ。｣
それだけを伝えると、家入はまた治療室へと戻っていった。体の力が一気に抜けてドカッと椅子に座る。
｢よ…かった………｣
｢はぁ…………起きたら教えてくれ。報告書まとめてくる。｣
｢あぁ………｣
真希は額にかいた汗を拭いながらその場を去る。そんな彼女を横目に、夏油も汗を拭う。背中にかいた汗が気持ち悪い。シャツが張り付いて今すぐに脱ぎたいくらいだ。
｢夏油さん…！｣
｢あぁ……終わったかい？｣
｢はい…いま、幸穂が仕上げを……｣
｢ゲロは簡単だったけど、血がなかなか取れなくて……でも、綺麗になったぜ。｣
｢ありがとう。…すまないね、手伝えなくて。｣
｢んな事より、Aは………｣
｢……今はまだ眠ってる。治療中血が足りなさ過ぎて気を失ったみたいだ。目が覚めたら硝子が知らせてくれる。実幸も頑張ってくれたみたいだから、あとのケアはよろしく。…私はシャワーを浴びてくる。変な汗をかいてしまってね。何かあれば連絡して。｣
｢はい。｣
ベンチからゆっくりと立ち上がり、職員室に向かう。その間に美々子と菜々子に一応連絡を入れて、職員室に置いてあったタオルと着替えを持ち高専内のシャワールームに向かった。
使用中の札をかけて鍵を閉める。暖かいシャワーではなく、冷たい冷水を頭からかけ小さく深呼吸をした。
｢………冷たっ。｣
それでも、今はその冷たさが少し心地よかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1497人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
魔灯 - 任務代わってくれる棘君優しいな 真希ちゃんと夢主君幸せになってくれー！ (2021年9月5日 17時) (
レス) id: 43f1bbcd44 (このIDを非表示/違反報告)
魔朝@Bsc(プロフ) - 幸穂ちゃんマジかぁ.............実幸ちゃん達も辛いやろなぁ..........夢主くんがこの一件をきっかけに大量虐殺とかおかさなきゃいいけど......とめて夏油さん！！ (2021年6月22日 20時) (レス) id: 9bfc59222b (このIDを非表示/違反報告)
都和(プロフ) - ここで辛い展開やってくると思わなかった、、、頑張れ息子くん！ (2021年6月22日 15時) (レス) id: a33a5cff70 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 真希ちゃんが男前過ぎて……(泣)逆にかっこいい (2021年6月18日 16時) (レス) id: 947326f28f (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - ついに息子くんと真希ちゃんがッ!!!!!!!!嬉しい!!幸せ!!トキメキと癒しをありがとうございます!!今夜はお赤飯でお祝いしようと思います!!!!!!笑 (2021年6月9日 18時) (レス) id: addf3f5d58 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花蛸花
| 作成日時：2021年6月6日 1時
