・24 ページ24
あの日と同じように、治療中のランプが光る。治療室の奥ではバタバタと忙しない足音が聞こえてくる。おそらく実幸だろう。
『い、家入さん、！！！』
『大丈夫だ、すぐ落ち着く。それより輸血パック持ってこい。』
中で一体何が起こっているのか。医療についてなんて何一つ知らない夏油にはさっぱりだ。幸慶は雅火達と血や吐物の片付けに回ってくれた。手伝おうとしたが、傍にいてやれと彼らなりに気を回してくれたのだろう。
自分たちも死にそうなくらい心配なのに。
｢おい！！傑！！！｣
｢真希…なんでここに…｣
｢補助監督から、Aがやべぇって………！あいつは！？！？｣
｢…今、治療中。おそらく複製眼の作用だ。でも今回はだいぶ酷い………目からの出血が止まらなくて、嘔吐を繰り返していた。もう胃液しか残っていないのに吐き続けて………｣
｢なんで、なんでそんなになるまで…！｣
｢………Aも、いつもの事だと思って放置してたんだろう。複製眼については謎のまま……Aにも分からないことが多いのに、私たちに分かるはずがない。｣
謎、そう、謎だらけだ。謎に満ちた眼を手にしてしまった彼はこの先もこうやって苦しめられないといけないのか。その度にあの光景を目にして、死ぬんじゃないかとハラハラして、心臓が止まるんじゃないかと思うくらい跳ね上がって。
いつか死んでしまうんじゃないだろうか。
その考えが頭をよぎった時、怖くて仕方なかった。手が震えて止まらない。
｢………あいつ、死なないよな。｣
｢……………分からない。本当に、何も分からないんだ……………………あの眼は、どこまであの子を苦しめれば気が済むんだ………？｣
ギリッと音が立つほど拳を握り締める。血が出るんじゃないかと言うほど爪が掌に食いこんだ。あの眼は彼を苦しめてばかりだった。
｢あんな眼……この世になければいいのに………｣
真希は何も言えなかった。あの眼にどれだけAが苦しめられ、夏油が死ぬほど心配して、何度涙を流してきたか知っているから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1498人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
魔灯 - 任務代わってくれる棘君優しいな 真希ちゃんと夢主君幸せになってくれー！ (2021年9月5日 17時) (
レス) id: 43f1bbcd44 (このIDを非表示/違反報告)
魔朝@Bsc(プロフ) - 幸穂ちゃんマジかぁ.............実幸ちゃん達も辛いやろなぁ..........夢主くんがこの一件をきっかけに大量虐殺とかおかさなきゃいいけど......とめて夏油さん！！ (2021年6月22日 20時) (レス) id: 9bfc59222b (このIDを非表示/違反報告)
都和(プロフ) - ここで辛い展開やってくると思わなかった、、、頑張れ息子くん！ (2021年6月22日 15時) (レス) id: a33a5cff70 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 真希ちゃんが男前過ぎて……(泣)逆にかっこいい (2021年6月18日 16時) (レス) id: 947326f28f (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - ついに息子くんと真希ちゃんがッ!!!!!!!!嬉しい!!幸せ!!トキメキと癒しをありがとうございます!!今夜はお赤飯でお祝いしようと思います!!!!!!笑 (2021年6月9日 18時) (レス) id: addf3f5d58 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花蛸花
| 作成日時：2021年6月6日 1時
