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あれから数日。特に何か変わることもないまま時間だけが過ぎていく。職員室でコーヒーを飲みながら書類を整理しているとドタドタと足音が響き、幸慶が勢いよく職員室の扉を開けた。
「夏油さん!!!」
「びっくりしたァ…!な、なんだ、、、!?」
「Aが…!」
以前にも同じような事があった。あの時と同じ雰囲気に、サッと血の気が引いた。幸慶の言葉を聞き終わる前に職員室を飛び出し、夏油満象教室へと走る。
「A……!」
教室の床に散らばる血と、Aが吐いたであろう吐物。横たわるAのすぐ側で、幸穂と実幸がどうすればいいのかと泣きわめいていた。
「げ、とうさん、!!!」
「A…!大丈夫か!?聞こえるか!?誰か硝子…!」
「い、いま、み、みやび……」
「今雅火が家入さん呼びに行ってる!」
少し遅れてやってきた幸慶がそう言った。その間もAはどくどくと血の流れる目を押えながら嘔吐いていた。
「A、大丈夫か、A!!」
「ぅ、……ぐ、っ、……ぅえ……っ、」
もう何も吐くものがなくて、胃液だけがダラダラと口から流れ出てくる。目からの出血は止まらなくて、本当に死んでしまうんじゃないかと恐ろしくなった。
今まで少し目からの出血があることは時々あった。こんなにたくさんの血が流れているのを見るのは切り替えの時以来だろう。弱った息子を見るのはいつぶりかで、頭がこんがらがりパニック状態だ。
「家入さん来たよ…!」
「硝子………!」
「……これは………酷いな………とにかく医務室に運ぼう。夏油、幸慶、二人で運べるな。実幸は私に先に治療室の準備しに行くぞ。」
「ぇ、ぁ……」
「実幸、こいつは今複製眼の作用でこうなってるだけだ。助けたいならシャキッとしろ。」
「は、、、はい、、!!!」
「雅火、幸穂。ここ片せるか?」
「できる、、!」
「なら手袋とビニール取りに来い。」
家入と実幸は走って教室を抜け出し、あとの二人もそれを追うように抜けていった。
「ど、どう持てばいい…!?」
「この際何でもいい…私は頭の方を持つから足を。」
「分かった…!」
背の高い筋肉質なAを持ち上げるのは正直一人では辛い。彼を二人がかりで持ち上げて何とか治療室まで連れていく。
その間も、夏油は口から心臓が出そうな思いだった。
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魔灯 - 任務代わってくれる棘君優しいな 真希ちゃんと夢主君幸せになってくれー! (2021年9月5日 17時) (レス) id: 43f1bbcd44 (このIDを非表示/違反報告)
魔朝@Bsc(プロフ) - 幸穂ちゃんマジかぁ.............実幸ちゃん達も辛いやろなぁ..........夢主くんがこの一件をきっかけに大量虐殺とかおかさなきゃいいけど......とめて夏油さん!! (2021年6月22日 20時) (レス) id: 9bfc59222b (このIDを非表示/違反報告)
都和(プロフ) - ここで辛い展開やってくると思わなかった、、、頑張れ息子くん! (2021年6月22日 15時) (レス) id: a33a5cff70 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 真希ちゃんが男前過ぎて……(泣)逆にかっこいい (2021年6月18日 16時) (レス) id: 947326f28f (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - ついに息子くんと真希ちゃんがッ!!!!!!!!嬉しい!!幸せ!!トキメキと癒しをありがとうございます!!今夜はお赤飯でお祝いしようと思います!!!!!!笑 (2021年6月9日 18時) (レス) id: addf3f5d58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年6月6日 1時