・38 ページ38
「はいはい、ストップストップ。落ち着いて話そうぜ?」
にっこりと笑顔を浮かべるその男に、冷や汗が流れる。俺のもんに触んなというオーラが全身から出ているのが丸わかりだ。しかしここで負けるわけにはいかない、と久井は彼とAの間に立ち塞がる。
「ほんっっっとうにこいつには何もしないんですね?」
「しねぇって。俺がAちゃんにそんなひでぇ事するはずなくね?」
「いや知らねぇよ。俺ら初対面だわ。」
「A、ほんとに大丈夫なの?」
「大丈夫だって……蘭さんすっごく優しいよ!」
にこにこと幸せそうな笑顔を浮かべるAに、彼らは大きくため息をついた。そんな顔をされてしまってはこれ以上何も言えなくなってしまう。久井は全身の力を抜いて肩を下ろした。
「はぁ〜………すみません、取り乱しました。俺たちAの小学の頃からの友人なんです。俺は久井勇作です。」
「……槇島大知。」
「私、本庄姫莉です。」
「うんうん、みんないい子じゃん。俺は灰谷蘭ね。蘭ちゃんって呼んでもいいよ♡」
「灰谷さんで。」
「冷たすぎだろ。」
そう言って、蘭はケラケラと笑った。正直、怪しいと感じた男にここまで立ち向かう勇気は認めた。彼らならAを任せても問題はない、なんて誰目線だよ、とセルフツッコミを入れる。ただ距離が近すぎるもんだいは認めてない。
「A、昔っから面倒事ばっかり持ってくるんで今回もそれなのかと。」
「警戒心あるのはいい事だわ。Aちゃんにその警戒心分けてやって。初対面の男に連絡先渡すような子だから。」
「蘭さん!!」
「その話、明日じっくり聞かせろよ。」
がっしりと肩を組んだ槇島は、にこにこと笑顔の圧をぶつけながらAにそう語りかけた。大層怒ってらっしゃる様子の彼に、ぴぇ、と思わず声が漏れる。
「……Aと付き合ってるってまじですか?」
「あれ、聞いたの?まじだよ、大まじ。」
「Aに酷いことしたら何があっても私が刺し殺します。」
「なんもしねぇから刺さないでね♡」
彼らは自己紹介こそしたものの、まだ蘭への警戒は解かないままだ。しかし、Aの危機感がおかしいだけで本来これが普通である。どんなに顔が良くてもカタギでなさそうな男がいれば警戒するのは普通のこと。顔がいいってだけでホイホイついて行くのは余程のアバズレか危機管理能力がバクってる人間だけ。彼女の場合は後者である。
1869人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鈴(プロフ) - 続編おめでとうございます!! (2021年10月30日 10時) (レス) @page10 id: df5b843723 (このIDを非表示/違反報告)
りく - 文章の構成などもお上手で先が読みたくなってしまいました。応援しています! (2021年10月20日 14時) (レス) @page22 id: cb6ced8fcf (このIDを非表示/違反報告)
五条悟(プロフ) - なんかこのまま嬉々として蘭ちゃんが梵天に笑顔で入れそうだな。レオ君と共に (2021年10月16日 6時) (レス) @page4 id: e4f8a98264 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぽぽ(プロフ) - 続編おめでとうございます!!!!これからも更新頑張って下さい(^^) (2021年10月16日 4時) (レス) @page4 id: 908e4168b8 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも楽しく読ませていただきます! (2021年10月16日 2時) (レス) @page2 id: 530da25b74 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年10月16日 2時