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「……覚えてるだろ、実幸がクラスの子に階段から落とされて………」

「………もちろんだよ。」






あの事件から、もうすぐ1年が経とうとしている。しかしあの事件は記憶に新しく、それが消えることはきっとないだろう。





「……あの時、初めて非術師を殺したいと思った。……私たちは別に、望んでこの呪術(ちから)を手に入れた訳じゃないのに………なんであんな猿共に気を使って生きていかなきゃいけないのか………分からない。」





嫌いじゃない。でも嫌い。戦うのがその呪術(ちから)を持ってしまった者の宿命だと分かっている。彼自身それが嫌なわけじゃない。それでも戦う意味がわからなかった。

ギリギリと手を握りしめる彼の頭を、夏油は優しく撫でた。





「………辛いなら、辞めてもいい。お前は確かに強い。でも辞めたいなら辞めればいい。無理して術師を続けなくてもいいんだよ。」

「………でも、それじゃあ私が今まで築き上げてきたものが全て水の泡になる。……最も全ては、あいつらを助けるために身につけたものだけど。」

「………そうか………ねぇ、A。しばらく学校も任務も全部放棄しておばあちゃん達の家に行ってきなよ。」

「…………え?」

「Aには少し休みが必要なんだ。そうだね……一週間くらいかな。」

「いや、…そんなこと出来るわけないだろ。術師は常に人手不足で、学校は生徒会の仕事も…」

「A。お前は少し頑張りすぎなんだよ。雅火も言ってたよ。Aが全部やるから副生徒会長の仕事が全然ないって。一週間くらい雅火に生徒会を任せな。任務は私たちで調節するから心配ないよ。」





つい最近のことだ。たまたま彼のスマホのスケジュール帳を見てしまった時、こんなに詰め込んでたのかと驚いた。課題、任務、生徒会の仕事。全部詰め込まれたそれを見た時から休ませるつもりだった。

これは、ある意味ちょうど良かった。





「明日から一週間。おばあちゃん達の家で世話になってきな。いいね。」

「…………わかった。」

「……大丈夫、Aは何も心配する必要ないから。」





そう言って、夏油はもう一度優しく彼の頭を撫でた。

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零落(プロフ) - 久々に占ツクに戻ってきたら超良作に出会って、一気に最新話まで読んでしまいました。話の途中で何度も笑ってしまったり、感動したり…もう最高です!素敵な作品をありがとうございます。これからも更新楽しみにしております。 (2021年6月4日 6時) (レス) id: 35493f6139 (このIDを非表示/違反報告)
方言男子 - やべ、性癖に刺さった (2021年5月26日 18時) (レス) id: b75236f17d (このIDを非表示/違反報告)
海洋生物(プロフ) - 続編おめでとうございます!成長した夢主くんかっけぇ!あと面白い!これからも頑張ってください! (2021年5月25日 7時) (レス) id: c21e60aa61 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年5月25日 5時

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