・15 ページ15
灰谷兄弟からの痛い視線の中で、スタッフは丁寧に仕事を進めた。手が震えて、何度も刷毛を落としそうになりながらも、なんとか髪を染めることが出来た。
「仕上げは如何なさいましょうか。」
「仕上げはいい。俺がやる。」
「は、はい。」
「もういいよ、お前。」
竜胆が立ち上がると同時に、蘭はそのスタッフを追い払うように手を動かした。スタッフはいそいそとその部屋を出ていき、竜胆は彼女の指通りのいい滑らかな髪に指を通す。
「いい感じ。どうする?アップにするか?巻くか?」
「どっちが可愛い?」
「あー……そーだな、ハーフアップにするか?」
「んじゃそれ〜」
「はいはい」と軽く返事をして、アイロンの電源を入れる。温まったところで、毛先を緩く巻いていく。その間も、Aはただじっとしていたかと思えば、蘭と二人で手遊びを始めたり、雑誌を読んだりと大人しくしている。
軽くアレンジを施していくと、竜胆は満足気に鏡越しにAを見た。
「うん、めちゃくちゃ可愛い。」
「さすが竜胆〜Aの可愛さ100億倍増しじゃん。」
「ま、元がいいからね。」
鏡で後ろの方を見せてやると、Aも満足そうに頷いた。
「気に入ったんなら良かった。」
「じゃ、早く行こーぜ。」
竜胆はAの肩を、蘭は腰を抱いてその部屋を出れば、スタッフ達が一斉に頭を下げる。
「いい仕上がりだったわ〜」
「また頼むわ。」
「はい、!今後ともどうぞご贔屓に……!」
「俺ら急いでっから。金は口座に振り込んどくな〜」
蘭の言葉に、オーナーは深々と頭を下げる。機嫌を損ねないように接客をするのも楽なものではなく、灰谷兄妹が乗っていた車が見えなくなるまで、オーナーは店先でずっと頭を下げ続けた。
そんなオーナーの姿など興味もない彼らは、Aはやっぱり可愛いと彼女をベタベタに褒めまくっていた。
「さすが俺らの妹だよなぁ〜♡世界一可愛い♡」
「最近は綺麗になってきたな。世界一綺麗だし世界一可愛い。」
「知ってる〜♡」
そんな二人に、Aは満足そうに笑いながら返事をした。
1013人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
自律思考固定砲台 - 梵天大好きな私の為に作られたのかと思った…。作者様、マジで神じゃん!? (2021年9月27日 22時) (レス) @page38 id: 426cb43a7c (このIDを非表示/違反報告)
わわるこ(プロフ) - 夢主ちゃんがマジで好み過ぎる… 主様の作品大好きです!応援してます! (2021年9月26日 12時) (レス) id: e592c4a1c9 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 面白いです!応援しています! (2021年9月20日 13時) (レス) id: 15d4b06566 (このIDを非表示/違反報告)
ma(プロフ) - 灰谷兄弟の妹めちゃくちゃいい作品に出会えて嬉しいです!春千夜大好きなので梵天絡みまじ好きです!落ち楽しみにしてます!!これからも更新頑張ってください^_^応援してます! (2021年9月16日 13時) (レス) id: 70f00aa1ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年9月16日 2時