前髪と息子-5【呪術廻戦】 (ページ6)

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夏油が部屋を出て数十分たった頃、入口の鎖がｼﾞｬﾗｼﾞｬﾗと音を立てた。

｢入るぞ。｣

｢あぁ、恵くん。荷物ありがとう。｣

｢足りないもの、あるなら今のうちに言っておけよ。｣

｢A～！元気？｣

伏黒に続いてひょっこり顔を出したのはいつも通りの笑顔をうかべた虎杖だった。

｢悠仁くん。父さんに聞いたよ。随分頑張ってくれたんだってね。ありがとう。｣

｢いや、ほとんどは五条さんがやったよ。俺着いてっただけ。｣

虎杖は荷物を一度カバンから出すAに、いつも通り接する。彼らもまた、Aを責める事はしなかった。

｢…ここに来るのはだいたい教職員だけだが、それ以外の人間には会えないわけじゃない。お前への面会許可は下りてる。あと、外部の人間との連絡許可も貰ってるから、お前のスマホも返す。これも全部五条さんが手を回してくれたおかげだ。……無いと思うが、脱走しようとか考えるなよ。｣

｢分かってるよ。｣

｢………お前らしくないと言えばお前らしくない行動だったな。｣

｢…………自分でも思うよ。｣

｢………これ、スマホ。｣

伏黒はポケットからそれを出すと、Aの目の前にあったテーブルに置いた。

｢俺たちは任務があるから戻る。｣

｢ま、最近お前がんばりすぎてたしさ！ここでゆっくりしとけよ！｣

｢馬鹿、謹慎中にやることだってあるんだよ。行くぞ。｣

虎杖と伏黒が部屋を出ると、また鎖の音が聞こえた。誰が来ても厳重なのに変わりはないな、とAは小さくため息をついた。

スマホの画面をつけると、多くの知り合いから大量の連絡が来ていた。直哉や加茂や東堂や冥冥、その中には、真希の名前もあった。

真希ばーーーーーか

そのたった一言のメッセージなのに、Aの頬は緩んだ。それと同時に、申し訳ない気持ちと、次どんな顔をして会えばいいだろうという気持ちがあった。

Aごめん。

その一言だけを送って、そのほかの知り合いへの返信を始める。最後に、もう一度真希とのメッセージ画面を開いた。

真希何に対しての謝罪だよ。

真希のその返信に、なんて返せばいいか分からなくて、もう一度、ごめんとだけ返した。