盗賊トリッパーが米花町で好き勝手！？

11.＿＿ぶっ飛んだ思考 ページ11

主人公sid



「世界には少なからず、2種類の人間区別がある。まずは表社会の人間、次に裏社会の人間。善人、悪人。アンタは善悪についてどう思う？」

ジン「善悪、善は良いヤツで悪が悪りぃヤツだろ」

「ほぅ、そう思うか。だが、俺は違うな。善人は悪人の心情を知らずに決める。簡単に言うと、たかが多数決って事だ。もし、"人を殺す"が善と言う奴が3人いたとして、悪だと言う奴が2人だとしよう

そうすれば人間は多い人数に決める、善だと。可笑しいと思うか？要は多数決なんだよ、裁判だって、裁判官の思う正義で人を裁く。でも本当にいいのか？人間が人間を裁くなんて。昔、神の代理をしている、と言い張っていた裁判官がいたよ、そいつもマトモじゃなかったんだろうな

善人は善人の暮らす表社会、悪人は悪人の暮らす裏社会、そう場所が昔決まっていた。だが、それが今はどうだ？善人も悪人も、表社会の人間も裏社会の人間も飽和するほど溢れたこの街は」



わざと尋ねるようにジンに聞く。簡単に答えられないのは知っている、これは絶対に答えの出せない質問なのだから

前世の父は、哲学者だった。いつも娘の私に善や悪、分類、人間のあり方、正しい死の理論を求めてくる。だから哲学的な考え、理論を導き出すのは簡単だった

ジンは少し興味深そうに私をみて、口を開いた



ジン「お前は神父か哲学者か何かか？随分とこの世界や人間を客観的に見てるじゃねぇか」

「まぁね、俺の父は筋金入りの哲学者なもんで。こういった世界、人間、善悪の理論や考えをガキの頃から聞かされていたら嫌でも全てを客観的に見て、そう考えたくなる

それに、俺はこの世界を、何度も傍観者としてみていたからな

で、お前は先程の質問に答えないのか？理論が出なくても矛盾した答えでもいい、それが心理と哲学ってヤツだからな」

ジン「‥善人だとか悪人だとかは興味ねぇ。裏切り者は死ぬし、真面目な奴も死ぬ。恨みをかう事もある、だが何故恨まれる、何故裏切る。無知、無垢はこの世の大きな罪、重罪だ。知らない事だらけ程恐ろしいモンはねぇ

お前もだ、俺も知らない世界がある。それを余す事なく全て知れば、殺される。だから"知る"より、"知らない"が幸せなんだよ」



おや、ここまで自分の考え、理論が言えるやつは初めてだ。それに、俺の質問を別の質問で返した。あぁ、中々気が合いそうだ



「アンタ名前は？俺はA=ルシルフル」

ジン「ジン」

「そうか、よろしく」

ジン「あぁ」


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