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「何ため息ついてんの?幸せ逃げるよ?」

「私の幸せが迷子なんです」

「じゃあ俺の幸せも迷子やなぁ」

「……」



カラカラと笑い、真っ黒で星一つ見えない空を歩夢は眩しそうに見上げた。
そんな歩夢を眺めていると、歩夢の手がスッとこちらに伸びてくる。


躊躇しながらも、そっとその手に自分の手を重ねたら、包み込むように握られた。



「なんも考えんと、ぬくぬくとあったまっとったらいいやん。俺はそれで満足やで?」

そんな事を何気ない顔で言ってのける歩夢の後頭部を睨んだ。


「……嘘つき」

「嘘は言ってない。Aのこの手の温もりは、俺が一番知ってる」

「満足はしてないでしょう?」

「なんも考えるなって、な?」


絡まっている糸がうまくほぐれない。
喉の奥がツンと詰まるのを感じた。


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作者名:ミーコ | 作成日時:2017年9月30日 14時

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