東大のねむり姫

第39問 ページ39

僕は静かにルービックキューブを見てると隣が激しく踊っているのがわかった
楽しそうなのでほっておいた

「終了ー！」

こうちゃんさんは不満そうに顔歪ました
福良さんは軽く突っ込んでから話を進めていく

結果は失敗だった

「次は期待のAちゃんですね。さっきの90点と言い期待が高まりますね」

福良さんの言葉に苦笑いをすると伊沢さんが「新人いびりやめてください」と笑いながら僕のことを守るように手を伸ばしてきた

「はい、これ以上いじると僕が危ないのでやめときます…Aちゃん何色にする？」

さん付けからちゃん付けに変わったことなど気にできないほど僕は緊張していた

『緑…で』

そう小さくつぶやくと「OK。行くよ、よーい開始！」福良さんの言葉と同時にキューブを動かす

自分で色の指定をしておいてなんだが、これは絶対緑よりオレンジのが揃ったな

そんなことを思いながら緑を揃えようと奮闘した

「はい、終了」

しかし、そんな奮闘は虚しく福良さんの言葉で僕はルービックキューブを机に置いた

「結果は…」

『無理でした』

僕がそう言うと「まって、Aちゃんこっちの面揃ってるよ」とこうちゃんさんが言ってきた

言われたようにその面を見ると何故か1面揃っていた

「え？何そのミラクル」

伊沢さんが笑いながら言う

「Aちゃんはミラクルの天才ですね」

福良さん須貝さんまで笑っていた
いや、こうちゃんさんも笑っていた

『で、できてましたー』

僕は自分に拍手をする

3人はまだ爆笑していたが無視していると「じゃあ、次は伊沢」と司会がすすめてくれた

「何色にしますか？」

「ちょっと待ってね」

2人が話してる時にこうちゃんさんがいきなり「いい色ですねぇ」というから僕は笑ってしまった

「え、なにAちゃん笑ってるの」

なんて聞いてくるあたり伊沢さんは聞こえてなかったんだろう

『なんでもないです』

と笑いながら答える。隣でこうちゃんさんは悪戯に笑っていた

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