十三巻 ページ13
どうしたらいいのだろう。
とにかく私は頭がいっぱいでボロボロと涙が溢れてきた。
??「あー……泣かんといて?」
彼は慰め慣れていないのかぶっきらぼうにそう言い捨てた。
だけど今は恐怖で声が出せない。
??「………涙ってうまいんかな」
『……へ』
そう言った彼は私の頬につたっている涙を指ですくい上げぺろっと舐めた。
私は何をしているのか理解できずにパニックを起こしているが、彼は美味しいのかとても顔を輝かせている。
??「………やばっ。こんなうまいんや」
いまだかつてないほどの笑顔をみせて彼がもう一度私の頬に触れようとした時、
??「な、何してるんですか!ゾムさん!?」
??「チッ……邪魔がはいったな」
優しそうな顔立ちの男性が慌てた様子でこちらに走ってきた。
それを見たフードの彼は明らかに不機嫌な表情でたたずんでいる。
彼は私の泣いた顔を見ると目を見開いて、フードの彼をジロリと睨んだ。
??「ゾムさん!?こんなことしてたらグルッペンさんに怒られますよ!?」
??『……別にいいもーん』
そんな彼を見るなりため息をついて、私のところへ駆け寄ってくる。
??「大丈夫ですか……?私エーミールと申します。怖がらせてしまってすみません。お部屋に行きましょう。案内します」
恐怖で動けないでいるとエーミールさんは優しい笑顔で私に手を差し伸べた。
差し出された手を握って立ち上がると、フードの彼と目があう。
??「俺自己紹介してんかったな!ゾムやで!よろしくな!」
反省している様子がないゾムさんに思わず顔が引きつってしまう。
最後に見えたゾムさんは楽しそうに緑色の瞳を揺らしていた。
……なんだかその顔は見てはいけないような気がしたので気付かないふりをした。
―――――――
em「怖い思いをさせてしまって本当に申し訳ないです……」
あの後、ゾムさんと別れて私はエーミールさんに自分の部屋の位置を教えてもらった。
私が部屋に戻ろうとするとエーミールさんは眉を下げて謝罪をした。
『エーミールさんが謝る必要ないですよ!?なんなら助けてくださったのでお礼を言わなければならないですね……!助けてくださりありがとうございます!』
そう言って深々とお辞儀をすると、エーミールさんは嬉しそうに目を細めた。
その笑顔を見ると少し安心してしまう。
em「ふふっ…どういたしまして」
とても嬉しそうに笑うものだからつい、私も笑ってしまった。
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うどん(プロフ) - 彩音さん» ありがとうございますー!!!頑張って描いたので嬉しいです!最後までお付き合い頂きありがとうございます! (2020年5月28日 1時) (レス) id: a3779bcd2c (このIDを非表示/違反報告)
彩音(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても好みのお話でした〜!そして最後当たりのイラストうますぎる・・・・・・ (2020年5月27日 6時) (レス) id: 5d687b4a81 (このIDを非表示/違反報告)
うどん(プロフ) - 眠猫さん» とても嬉しい限りでございます。最後まで読んでくださりありがとうございました!! (2020年5月23日 16時) (レス) id: a3779bcd2c (このIDを非表示/違反報告)
眠猫(プロフ) - 感動しました。少女の死んででも会いに行こうとするのなんてノω・、) ウゥ・・完結おめとうございます! (2020年5月23日 13時) (レス) id: 290d396106 (このIDを非表示/違反報告)
うどん(プロフ) - ロルくんさん» ありがとうございます!!頑張ります!!!! (2020年5月2日 16時) (レス) id: a3779bcd2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うどん | 作成日時:2019年10月2日 21時