検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:6,901 hit

   ページ11

あの日、望月の言葉を聴いた日から、雪の中の何かが狂いはじめていたのかもしれない。
 これは一種の依存だろう。もう、“愛情”と呼べるモノではない。雪に唯一残った、望月にも認めてもらえた、“絵を描く”というアイデンティティ。それさえも、望月を繋ぎ止める為の道具になってしまったのだ。
 と同時に、望月が自分以外の誰かとしゃべっているところを見かける度に、雪は不安を覚える様になった。
 望月が誰かと話す度、雪は思うのだ。『もし、望月先輩がこの人と仲良くなって、私なんかに興味を示さなくなったらどうしよう』、と。
 怖い。怖い。怖い。やっと見つけた存在意義。それを取られるのが一番怖い。止めて、行かないで、先輩。私だけを………………。
 そこまで思いかけた雪は、頭をぶんぶんと大きく振った。
 ……私なんかが先輩を繋ぎ止めていいハズがない。私か馬鹿でノロマな奴なのに対して、先輩は、完璧人間。そんな人に、私だけを見てもらうなんて……。そんな事、思うだけでもバチが当たる。
 雪はこの感情をどうすればいいのか、自分でも分からなくなった。
 ずっと一緒に居たい、私だけを見てて欲しい。けど、そんな事、叶うハズもない……。あぁ、なんなんだろ。この感情は。
 雪は自分の中に、ある感情が沸々と沸き起こっているのを感じた。
 この感情は、俗に言う“好き”という感情なんだろう。望月先輩の事を思う度にこの感情が沸き起こるという事は、つまり、私は望月先輩の事が“好き”ということ……。
 しかし、この感情は、健全な“好き”ではない事を、雪自身が一番わかっていた。
 ……この感情は、普通の“好き”じゃない。この感情は、もっと、熱く、ドロドロした物。そして、甘く、どす黒い。自分から近づいては苦しい思いをする癖に、それが自分から離れて行くと思うと恐ろしくてたまらない…………。

  →←  



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
4人がお気に入り
設定タグ:百合 , 束縛 , 倒錯   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

イワナガ印の腐った猫缶 - 誠に勝手ながら、しばらくこの小説の更新をお休みさせていただきます。更新を楽しみにしてくださっている皆様には、本当に申し訳ございません。 (2017年12月27日 13時) (レス) id: 4b9c3cb198 (このIDを非表示/違反報告)
イワナガ印の腐った猫缶 - ムスカリ@ハイセファンクラブさん» ひぇえええええぇえぇええ!! あ、ありがとうございます!! そういっていただけて嬉しい限りです! ご期待にそえるよう、これからも更新頑張ります! コメントありがとうございました! (2017年12月18日 22時) (レス) id: 4b9c3cb198 (このIDを非表示/違反報告)
ムスカリ@ハイセファンクラブ(プロフ) - 私この作品とても大好きです!これからも更新頑張って下さい! (2017年12月18日 0時) (レス) id: f0fd22494b (このIDを非表示/違反報告)
イワナガ印の腐った猫缶 - 今まで失踪すいませんでした! スランプちゃんが私の所に来ていたものですから……。これからは、なるだけちゃんと出しますので……。これからもよろしくお願いします!! (2017年12月17日 22時) (レス) id: 8440609dae (このIDを非表示/違反報告)
イワナガ印の腐った猫缶 - おかげさまで、1000hitを達成することができました! これもひとえに、いつも読んでくださっている皆様のおかげです! これからも、この二人の物語をお楽しみください!! 今回は本当にありがとうございます!! (2017年11月30日 21時) (レス) id: 8440609dae (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:イワナガ印の腐った猫缶 | 作成日時:2017年11月12日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。