好きだ23 ページ24
今日は久しぶりに唄ｻﾝが見に来てくれた。
帰り道。ここ最近はもう当たり前のようにお互いの手を繋ぐようになった。
2人とも片手は繋いで片手は携帯。
傍から見たらなんとも行儀の悪い。
でもこれが俺達の会話だから。
もちろん人の多いところや車の通りが多いところではやらない。
部活終わりの人の少ないこの時間だからこそできること。
俺の1日の中で最も大切な時間。
唄ｻﾝが携帯を見せてくる。
"徹くんから学祭の話聞いた??"
"あぁ、チケットもらった。"
俺じゃなくて及川を誘ったことの不満からか少しそっけない反応をしてしまった。
俺の反応は予想外だったのかおどおどしたように再び携帯を打つ唄ｻﾝ。
"その日部活オフって聞いたんだけど、、一君は忙しい??"
なんで俺に聞くんだ。及川が行けばそれでいいんじゃないのか。
どこか捻くれた考え方をしてしまう俺。
"いや、忙しくない。及川から聞いてたし、花巻たちも行きたいって言ってたから皆で行く。"
"え！みんなも来てくれるの？嬉しいな〜。"
俺はどうやらおかしくなったようだ。
ただみんなが行くことに喜んでるだけなのに、それが唄ｻﾝの良いところなのに、俺は俺が行くことだけに喜んでほしいなんてこと考えてる。
好きすぎて、些細なことでモヤモヤしてしまう。
彼女の良いところを素直に認められない。
そんな自分がひどく子供のように思えて嫌だ。
俺は彼女の横に並んでもおかしくないくらいオトナになりたいのに。
"学祭の絵ね、絶対一君に見てもらいたいんだ！"
俺の意識を遮るように腕をグイグイ引っ張りながら携帯を見せてくる唄ｻﾝ。
"俺に？なんの絵なんだ？"
"それは秘密！見てからのお楽しみ！"
"そうか、楽しみだな。"
彼女が"俺に"というだけで心が弾む。
もうこの想いを抑えておくのも限界に近いのかも知れない。
彼女がこんなガキ臭い俺を受け入れてくれるかは分からないけど
俺が彼女に想いを伝える日は近いだろう。
横で珍しくはしゃぐ唄ｻﾝを見ながら俺はそんなことを思った。
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作者名：晴雛 | 作成日時：2017年12月3日 4時
