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「ええよ。丁度俺もそう思ってた。柄にもないことこのまま続けんのしんどいなー、て。」
「思てたんかい」
「てなるとAが引くようなこともわんさかすると思うけどそこは多目に見てな。」
「内容によるわ内容に」
。
あれから数ヶ月経ち、私は入学式も終え高校に入学した。入学式には兄貴が保護者として来てくれた。スーツ着て保護者席に並ぶ兄貴は面白かった。
えらい若い親が居るなとジロジロ見られていた兄貴は面白かった。
世間的には親子でもおかしくはない歳の差だからそりゃしかたないんだけど、どこか悔しそうにしていた兄貴が面白かった。
友達もできたし、部活には入ってないけどバイトもはじめた。知らない土地で不安だったけどそんな不安もよそにどんどんどんどんコミュニティが広がっていてたのしい。
東京にも少しなれた。
初日の目合わせ事件以降、兄貴とはそうとう打ち解けることができた。
歳の差があるからどうすればいいかわからなかったこと、どこまで身の丈打ち明けるような話をしてもいいのかわからなかったこと、ほか色々。
兄貴が、「Aがおるからもう家には女の子呼べへんな、」とか言った時はさすがにこいつフランクな関係築きすぎやろと思ったけど。兄貴のそういう話聞きたないんやわ、妹として。
私一応未成年だけどね？でもカマトトぶっても逆に辛いし気まずいから「じゃあホテル行きゃーいいやん」て言ったらものすごい顔された。ちょっと、衝撃みたいな。
いやなんで兄貴がそんな反応すんの？引くなよ。
そんなこんなで割と楽しく暮らしていたある日、私は兄貴と一緒に買い物にでかけた。
暇が揃った休日だったから、久しぶりに出かけようってことで。
東京やっぱすっげー
なんて思いながら町中を歩いて買い物をする。人混みをかき分けるように私を引っ張りながらずんずんと進んでいく兄貴に早足でついていく。
「この前会長と専務に会いに事務所お邪魔したら芸人さんがおったんやけどさ」
「何しれっと事務所行っとんねん」
「えーやん！でさ、その人が私見るなり、ブクロの妹？！いうてきてさ。なんで知ってるんすか、って聞いたら、今ブクロが上京してきた妹と一緒に住んでるってわりと噂になってる、って言われてさ。」
「なんで漏れてんねん。絶対森田やわ。あいつべらべら喋りよったな」
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作成日時：2022年2月6日 22時
