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09:炭酸みたいにしゅわしゅわ【瀬名泉】 ページ9

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「A、」


ん?と振り向けば、ぴとっと頰に冷たいモノがあたる。

思わずひえっと情けない声を出して目を閉じれば、
子供みたいに楽しそうな泉の笑い声が降ってきた。


「あっはは、情けない声〜。『ひえっ』て…あー笑える」
「笑わないでよ、もー」
「はいはいごめんね〜」


今度こそきちんと私の手におさまるそれ。
ありがと、と口を開ければ炭酸特有のプシュッという音が聞こえた。

たしか泉って炭酸より水のほうが好きなはずだけど。
彼が手に持っているのも炭酸だ。
健康志向の彼が炭酸なんて、珍しい。


「なぁに、そんな見つめちゃって。俺に見惚れてるの?」
「泉の顔は相変わらず好きだけど、そうじゃなくて…。サイダーなんだ?」


そういうと、泉の眉がかすかに動いた。
(あれ、これあんま言いたくない話だった?)

なかったことにしようかと思ったけれど、
聞いてしまったがすでに遅し。
泉はにやりといたずらに笑いながら、ごくりと一口喉に通した。


「あんたが炭酸飲むときの、あのブサイクな顔が見たくなっただけ」
「えぇ〜…」
「文句あるの?チョ〜生意気。いいからさっさと飲みなよね」
「ん」


私もちょびっと口に含む。
しゅわしゅわと炭酸が口の中で弾けて、思わず目をつぶる。
この感じが好きでたまらないけど、でもちょっと苦手なの。
例えるなら泉の毒舌みたいな感じ。

ぷはっと息を吐いた途端、唇に柔らかいモノが押し当てられた。
急いで目を開けて確認するも、すでに彼は離れてしまっている。


「…、え、なに」
「べつに」
「ふ〜ん…?」


いきなりキスしといて「別に」はないでしょ。
こう…、私が可愛すぎてキスしたくなっちゃったとか。
炭酸に浸る私がブスじゃなくてむしろ愛おしすぎたとか。

(…あ、そういうこと?)


「泉、泉」
「なに」
「もっと素直になろうね」
「はぁ!? なにその上から目線っ、うざすぎ!」
「はいはい〜」


ぎゃあぎゃあと隣で騒ぐ泉を横目に、もう一度炭酸を口に入れる。
しゅわしゅわと口の中で炭酸が踊って、生きていると染み染み感じられる。

同じようにまた飲んだのか、となりの泉はすっかり静かになっていた。


「泉、」
「ん?」


不意に呼ばれたそのアホヅラに、もう一度私は正面からキスをお見舞いしてやった。



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くるみ - こんにちは!レオくんの話すごく切なかったです。幸せな話もまた読みたいです!これからも頑張ってください! (2019年6月27日 13時) (レス) id: 1520c09c44 (このIDを非表示/違反報告)
さゆな(プロフ) - レオのアンドロイド切ない… (2019年6月25日 20時) (レス) id: a613cbb65f (このIDを非表示/違反報告)
(名前) - 初コメ失礼します!レオくんのケーキとフォークの話がとても切なくて少し悲しい気持ちになりました。読み手をそういう気持ちにさせられるってすごいと思います!応援してるので頑張ってください! (2019年6月3日 22時) (レス) id: fe02a3a839 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - adoraさんの書くせないず可愛くて大好きです!更新いつもありがとうございます…!これからも頑張ってください!! (2019年5月21日 6時) (レス) id: bc4ed3887c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:adora | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年4月24日 0時

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