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32:教会の悪魔【月永レオ】 ページ34

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「なぁなぁ、暇なんだけど〜?何か面白いことない?」


静かな教会の礼拝堂に、陽気な声が響く。
その声はあからさまに私に向けられたものであり、私に求める声でもあった。
だが私は彼の声など気にもとめずに十字架に跪き祈りを捧げる。

ここには今や私しかいないから、彼らの相手も私がしてやらなければいけない。
本音をいえばめちゃくちゃ面倒臭いけど、ひとりも寂しいから仕方ないのだ。


「まーた偶像に縋っちゃって。それより目の前にたしかにいるおれに縋ればいいのに?」
「…」
「無視すんなって〜! 実際おまえだって分かってるでしょ?"どっち"が有能かなんてさ?」
「…」
「返事なくても聞いてるならいいけど、考えることだけは放棄すんなよ〜?」


コツンと音を鳴らしてすぐそばの椅子に腰をかけた。
見ていなくてもわかる、これは彼がするルーティンのようなもの。


「ま、いいけど。今頼れるだけ頼っとけ」
「…」
「どうせおまえの魂なんておれがもらっちゃうし…☆」
「…あんなの契約のうちにっ」


くるっと振り向けば、ニヤっと口角をあげたオレンジ色の悪魔。
途端に顎を強く掴まれて、首を無理やりソイツのほうへと向かされる。
容赦なく力が込められる指が歯に当たって痛むが、彼はそれでもやめない。
楽しそうにペロリと赤い舌で唇をなぞって、私を舐めるように見る。


「けーやくはけーやく。死んだらおまえの魂はおれのものになるんだよ」
「…っ」
「そしたらおまえはようやく分かるよ。神様なんて本当にいないんだって」
「は、どうだか…っ」


そんな私の煽りさえも笑って受け流すコイツは、私の神経を逆撫でる。

どうせとっくに知っているはずなのに。
私が本当はカミサマなんて信じきれていないことも。
カミサマなんて不確かで都合の良い存在より、私に利益をもたらす悪魔を信頼していることも。
悪魔なんて恐ろしいもののはずなのに、食べられるならコイツでよかったなんて思っていることも。

熱っぽい瞳で私を見つめる彼は、どこまでも人間の皮をかぶった悪魔だった。


「A、おれの名前呼んで」
「…いや」
「じゃないともうアイツが来ちゃう」
「……いや」
「ケチ。それともおれの名前忘れちゃった…?」


寂しそうなそんな表情。浮かべるだけ浮かべて、本音は少しも寂しくないくせに。
ふっと緩まった手は蛇のように首へと移動する。
そうすれば私はもう逃げられない。


「……レオ」
「ん、よくできました」


甘い教会の悪魔だ。



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33:教会の吸血鬼【朔間凛月】→←31:耳フェチ【瀬名泉】 コメント感謝話



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くるみ - こんにちは!レオくんの話すごく切なかったです。幸せな話もまた読みたいです!これからも頑張ってください! (6月27日 13時) (レス) id: 1520c09c44 (このIDを非表示/違反報告)
さゆな(プロフ) - レオのアンドロイド切ない… (6月25日 20時) (レス) id: a613cbb65f (このIDを非表示/違反報告)
(名前) - 初コメ失礼します!レオくんのケーキとフォークの話がとても切なくて少し悲しい気持ちになりました。読み手をそういう気持ちにさせられるってすごいと思います!応援してるので頑張ってください! (6月3日 22時) (レス) id: fe02a3a839 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - adoraさんの書くせないず可愛くて大好きです!更新いつもありがとうございます…!これからも頑張ってください!! (5月21日 6時) (レス) id: bc4ed3887c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:adora | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年4月24日 0時

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