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29:恋に落ちたのは、【鳴上嵐】 ページ30

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発端は、このあいだ転びそうになったのを助けてもらったとき。
最初に感じたのは、「心臓飛び出るかと思った」という感想。
両手が提出物の山で塞がっていて受身が取れない状況だったから、
誰かが抱きとめてくれたおかげで無傷でいられたのだった。

次に感じたのは、その人のたくましさと香り。
背中に当たる胸板と私を支える腕、そして勢いでふわっと漂ってきた香り。
あまりの男らしさに、先ほどとは違う意味で心臓が飛び出そうになった。

以来、そのことを思い出すだけでドキドキしてしまうのだが、
私を助けてくれた相手というのが、今私の隣で鏡とにらめっこをしている鳴上くんなのだ。


「あーんもう、今日ったら暑くてほんとかなわないわァ…」


ハンカチをおでこに当てたりして汗を拭き取る姿はさながらお姫様。
Knightsの皆に『お姫様』なんて呼ばれる私よりお姫様みたい。

そんな姿を見ていると、果たしてあのとき助けてくれたのは本当に彼か疑わしくなる。
こんな可愛らしくて女子力に満ちた彼が、「っぶな…!」なんて低い声を出すだろうか。
女として痺れてしまうようなオスの声を出すことが出来るのだろうか。

(…鳴上くんだって男子だしそれくらい…、いやでも声何気に高いしやっぱあれ空耳__)

なんて考え事をしながら外を覗き込んでいると、いきなり強い風が吹いた。
きゃっ!!なんて叫び声をあげるも虚しく、体重は前にぐらりと傾いた。
抵抗もできずただ死を覚悟したそのとき、


「あ、ぶな…!!」


また(・・)彼が助けてくれた。
普段の声からは想像出来ないくらい低い声で、たくましい腕を私のお腹に回して。
彼が引っ張ってくれたおかげで体重は後ろへ傾き、そのまま倒れ込んだ。

背中にぴっとりと感じる温かさと、耳にかかる吐息。
デジャヴっちゃデジャヴだけど、前よりはるかに距離が近くて今にも心臓が飛び出そう。
ドキドキしすぎて心音が彼に響いてるんじゃないかってくらい、本当に飛び出る。

そんな中まわされた腕にさらに力が込められて、耳元で苦しそうな声が聞こえた。


「ほんと、危ないことしないで…油断も隙もありすぎ…」

「ご、ごめんな、さい…」


脳が「やばい」という単語で埋め尽くされた。
ああ神様、助けてくれたのが彼だなんて確証いらなかったのに。
そしたらほかの人に恋ができたのに。


「気をつけてね…?」
「……はい」


嗚呼、神様はなんて罪深いの。



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30:お役目御免ね恋心【斎宮宗】→←28:見せかけの指輪【朔間凛月】



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くるみ - こんにちは!レオくんの話すごく切なかったです。幸せな話もまた読みたいです!これからも頑張ってください! (6月27日 13時) (レス) id: 1520c09c44 (このIDを非表示/違反報告)
さゆな(プロフ) - レオのアンドロイド切ない… (6月25日 20時) (レス) id: a613cbb65f (このIDを非表示/違反報告)
(名前) - 初コメ失礼します!レオくんのケーキとフォークの話がとても切なくて少し悲しい気持ちになりました。読み手をそういう気持ちにさせられるってすごいと思います!応援してるので頑張ってください! (6月3日 22時) (レス) id: fe02a3a839 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - adoraさんの書くせないず可愛くて大好きです!更新いつもありがとうございます…!これからも頑張ってください!! (5月21日 6時) (レス) id: bc4ed3887c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:adora | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年4月24日 0時

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