占いツクール
検索窓
今日:8 hit、昨日:35 hit、合計:34,545 hit

16:可哀想な人【朱桜司】 ページ16

.



彼と出かけているときに見つけたスカート。
チェック柄のマイクロミニスカートだったけど、
学生の私には手の出せる値段ではなく、購入は見送られてしまった。


ユニットの宣伝活動をしていたときに見つけた香水。
デパートの中でも高級中の高級な香水店。
私の好きな柑橘系を集めたシトラスの香りだったけど、
やっぱり私には似合わない値段だったので買わなかった。


そして、月永先輩の誕生日プレゼントを探していた日に見つけた、宝石。
ダイヤモンドやルビーではなく、アメトリンという珍しい宝石。
先輩が博物館によく行くと言っていたのでプレゼントのヒントを求めて行った。
そんなときに見つけたそれは、石油王でもなきゃ買えない金額。
一瞬でも手に入れられたらと思ったけど、身分不相応だった。


スカートも、香水も、宝石も。
どれも欲しくはあったけれど、実際に手に入れるつもりはなかった。
ただ見るのが羨ましくて、私に似合うかななんて妄想するのが楽しかった。



でも、それらが今すべて、私の目の前に並んでいる。
それだけじゃない、私が冗談でこぼした些細なものまで。


「あなたが欲しがっていたので揃えたのですが、いかがでしょう?」


薄く紫の瞳が細められた。
子供が親に撫でてもらうのを待つように、
彼は見えない尻尾を振りながら私に問いかける。

いかがでしょう?なんて、褒められることでも期待しているのだろうか。
欲しいものを欲しいだけ与えれば人を手中に収められると思っているのだろうか。

どんな高価なものより、人の心のこもった手作りなら、
不器用でも器用でも価値があると。
お子様でお坊ちゃんなきみは知らないんでしょうね。


「こんなにたくさんもらったら、申し訳ないよ」


遠慮ではなく本気の言葉。
でもそんなものがきみに通じる訳もなく。

『すべてあなたのためのものですから』

そう毒気を怯えた笑顔が、私の拒否を突っぱねた。


「……ありがとう。じゃあ、いただくね」


受け取ることが自分を受け入れたことにはならないのに。
目の前のあなたは太陽みたいに眩しく返事をした。

ああ、あなたは本当に何も知らないんでしょうね。
例えば、私があなたを嫌っていることなんて。



.

17:こぼれた原石【鳴上嵐】→←15:愛の重み【月永レオ】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (119 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
158人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

くるみ - こんにちは!レオくんの話すごく切なかったです。幸せな話もまた読みたいです!これからも頑張ってください! (6月27日 13時) (レス) id: 1520c09c44 (このIDを非表示/違反報告)
さゆな(プロフ) - レオのアンドロイド切ない… (6月25日 20時) (レス) id: a613cbb65f (このIDを非表示/違反報告)
(名前) - 初コメ失礼します!レオくんのケーキとフォークの話がとても切なくて少し悲しい気持ちになりました。読み手をそういう気持ちにさせられるってすごいと思います!応援してるので頑張ってください! (6月3日 22時) (レス) id: fe02a3a839 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - adoraさんの書くせないず可愛くて大好きです!更新いつもありがとうございます…!これからも頑張ってください!! (5月21日 6時) (レス) id: bc4ed3887c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:adora | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年4月24日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。