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01:私ときみは≠【月永レオ】 ページ1

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「ごめん、俺Aに釣り合う自信ない」


今日で振られた回数は7回目。
「釣り合う自信ってなんですか」。
そんな問いすら吐き出せないまま彼は去っていった。

優しくて紳士的で、でもちょっとお調子者で。
甘いミントの香りを纏っているのが好きだった。

__そんな彼はもういない。

帰り道に隣でゆっくりと並んで歩いたのが嘘みたいに、
彼は足早にこの場から去ってしまった。


いつもこう。
定番の振られ文句「自信がない」。


引き止める間もなく、逃げるように去っていく。
せっかく手に入れた幸せが逃げるこの感触は、7回の経験を重ねてもまだ慣れない。



「Aまた振られたの?」


体育座りで落ち込む私の隣で、
真っ白な用紙に五線譜を書き音を生み出しているレオ。
あくまで視線は逸らさず、だが意識はこちらに向ける。

いつも隣にいるのが当たり前で、つらいときは支え合うのが当然になっていた。
だからこうして今日も悲しみを吐き出す。



「…懲りないよなぁ、おまえもさ」



「よしよし、大丈夫」なんて言っていつも頭を撫でてくれるのに。
今日のレオはなんだか不機嫌で。
ちらっと横目で彼を確認してみたら、いつの間にか顔も体も私の方を向いていた。

よく見てみれば手元の紙は真っ白で、ペンなんてそこに転がっている。


「…レオ?」
「わかってんだろ、本当は」
「…なにが」
「ぜんぶ」


全部? 全部って、なんのこと?
きょとんとしていると、ふとレオが近づいてきた。
ふわっとレオの匂いが私に安心感をおぼえさせる。
そしてそのまま、彼の体温が私の唇に重なった。


「おまえに釣り合うのはおれしかいないんだ」


「釣り合う」私はその言葉をもう7回も聞いてきた。
言葉の意味を聞くことさえできなかったけど、今ようやくわかった気がする。


「レオ、まさか」


__ぜんぶ(・・・)レオのせい?
その言葉が宙に浮かぶ前に、またレオの唇が私のものと重ねられた。

都合の悪いことは聞かないように、
私に毒をすべり込ませるように。

いや、もうすでに毒は最初からまわっていたのかもしれない。


「そう、だね」


だってもう、私の鼻腔には彼の匂いしか残っていないのだから。


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02:あまぐるしい目覚め【朔間凛月】→



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くるみ - こんにちは!レオくんの話すごく切なかったです。幸せな話もまた読みたいです!これからも頑張ってください! (6月27日 13時) (レス) id: 1520c09c44 (このIDを非表示/違反報告)
さゆな(プロフ) - レオのアンドロイド切ない… (6月25日 20時) (レス) id: a613cbb65f (このIDを非表示/違反報告)
(名前) - 初コメ失礼します!レオくんのケーキとフォークの話がとても切なくて少し悲しい気持ちになりました。読み手をそういう気持ちにさせられるってすごいと思います!応援してるので頑張ってください! (6月3日 22時) (レス) id: fe02a3a839 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - adoraさんの書くせないず可愛くて大好きです!更新いつもありがとうございます…!これからも頑張ってください!! (5月21日 6時) (レス) id: bc4ed3887c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:adora | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年4月24日 0時

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