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朝起きると、視界いっぱいにオレンジが入ってきて眩しさでまた目を閉じる。
太陽の光？ それとも何かの反射…？
そう思っていたら、「んん…」という男の声で一瞬で現実に戻る。
そうだ、私昨日注文していたアンドロイドが、月永レオを模倣したアンドロイドが届いたのだ。
「おはよう…。今何時…？」
「おはよ。ん〜と、6時半？ 今日休みじゃなかった？」
「…そうだけど」
偽物とはいえ、トップアイドル月永レオの隣でぐーすかいつまでも寝られるわけ。
そう思って苦笑いを返せば、頭の上にはてなマークを浮かべて笑い返される。
そしてまた頭をぐしゃぐしゃにされて、さっさと布団を剥いで寝室から去っていく。
温もりなんてないのに、やっぱりそこにはある気がして。
大好きな人は目の前にいるはずなのに、まるで雲をつかんでいるよう。
すぐ近くにいるのに、手を伸ばしても絶対に届かない。
「…なーんで、注文しちゃったかなぁ…」
酔ってたのかなんなのかは知らないけれど、
愛しい人に会いたいと心を満たすために買ったものが、逆に今心に穴を空けている。
滑稽すぎて、ほんと笑えちゃう。
「おーい、目玉焼きは半熟派？ 固め派？ どっちでもいいならおれ勝手にしちゃうけど！」
「半熟……いや、どっちでもいいよ」
少しでも思い出がないように。
そう思って、本当は半熟派なのにどっちでもいいなんて言ってみた。
それでも月永レオ型のアンドロイドは、「ん」と短く返事をした。
その声が、とてつもなく優しくて甘くて、じわっと目頭が熱くなる。
そろそろ出来上がる頃だし、簡単な服に着替えてリビングへと向かう。
いい匂いがする。最近のアンドロイドは本当に優秀だなぁ。
「お料理上手だね」
「レシピ組み込まれてるしな〜。それに、昨日めっちゃ怒られたしっ」
「だってあんな毒々しいご飯食べれるわけ…」
「え〜？ 我ながら素晴らしい芸術作品だって思ったんだけど？」
「食べ物を作品にしないでください」
「怒るなって！」
食卓に座って朝食が運ばれてくるのを待っていれば、プロのシェフみたいな所作で置いてくれる。
机の上には目玉焼きとソーセージの載ったお皿とこんがり焼けた食パン。
「…あ」
その目玉焼きは、偶然なのか半熟になっていて。
「…？ A？どした？」
今名前呼ばないでよ。脆いんだから私。
また緑色の綺麗な瞳が私を見つめていて、胸がキュッてなる
あーあ、あなたのすべてが本物なら良かったのに。
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38：世界が桜で染まる時【斎宮宗】→←37：私と彼の歪んだワルツ【月永レオ】
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くるみ - こんにちは！レオくんの話すごく切なかったです。幸せな話もまた読みたいです！これからも頑張ってください！ (2019年6月27日 13時) (
レス) id: 1520c09c44 (このIDを非表示/違反報告)
さゆな(プロフ) - レオのアンドロイド切ない… (2019年6月25日 20時) (レス) id: a613cbb65f (このIDを非表示/違反報告)
(名前) - 初コメ失礼します！レオくんのケーキとフォークの話がとても切なくて少し悲しい気持ちになりました。読み手をそういう気持ちにさせられるってすごいと思います！応援してるので頑張ってください！ (2019年6月3日 22時) (レス) id: fe02a3a839 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - adoraさんの書くせないず可愛くて大好きです！更新いつもありがとうございます…！これからも頑張ってください！！ (2019年5月21日 6時) (レス) id: bc4ed3887c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：adora | 作者ホームページ：
作成日時：2019年4月24日 0時
