28:見せかけの指輪【朔間凛月】 ページ29
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「…え、りつくん?」
「A? なんでここにいんの?」
職場の友人に誘われてやってきた合コン。
四対四で、その中にすごいイケメンがいると言われたので渋々ついてきた。
私はまだ仕事で手一杯だからその友人の補助というか、そういう役割。
そう覚悟をしてやってきたのに、そこには高校時代の同級生の朔間凛月がいた。
「結局社会人になっても彼氏できてないのぉ?」
「そういうりつくんこそ、合コンなんて来てるじゃん」
「残念、俺は人数合わせ…♪」
そう言うと嬉しそうに手元の指輪を光らせた。
それを見た瞬間、心臓を何かに掴まれたかのような衝撃を受けた。
高鳴る心臓と何かが喉に詰まったような、そんな苦しさ。
そんなことも露知らず、彼はにっこりと笑っている。
未だに彼氏なんていたこともない私を嘲るように。
「…もうヤケ」
「は? ってちょ、そんな飲んでアンタ酒強いわけ…!?」
「わかんないけど、多分強くないけど、いいの。大人になるの」
「意味わかんない…」
なになに、振られちゃったの?とからかい調で言ってきた友人なんて無視。
慰めてあげよっか〜?なんて言ってくるモブ男子も無視。
お前らなんかにわかるもんか。
もう5年も片想いしてた人に奥さんがいたと知った時のショックが。
ビールを一気に飲み酔いはまわり、瓶は泡しか残っていない。
ふわふわとした感覚というか、じんわりと来る頭痛すら心地いいというか。
もう、私が私じゃなければいいというか。
「飲みすぎ…、顔真っ赤じゃん」
「もうヤケなの、いーんですぅ」
「そんなだから彼氏出来ないんじゃん。介護任された俺の身にもなって?」
「知らな〜い」
肩を担いでイライラ全開で支えてくれるりつくん。
ざまーみろ。私の5年の片想いをバッサリ切ってどこぞの知らん女と結婚するからよ。
そんな女より私の方が絶対好きだったのに。好きなのに。
「俺んち来る?」
「…は?奥さんいんのに堂々女連れ込むの?」
「んふふ、あんたも騙されたんなら俺って役者もいけるかもねぇ?」
「役者…??」
突き出された左手の小指には細い指輪。
「なんかね、ココにつけると恋を引き寄せる〜みたいな意味があるらしいよ」
「…?」
「女避けにつけてみたけど、あながちジンクスじゃないかもねぇ」
そう言うと、ちゅっと軽くキスをされた。
初めてのキスの感覚に、酒の効果もあり思考がついていかない。
「妬いちゃうくらい俺のこと好きだもんねぇ」
…やられた。
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くるみ - こんにちは!レオくんの話すごく切なかったです。幸せな話もまた読みたいです!これからも頑張ってください! (2019年6月27日 13時) (レス) id: 1520c09c44 (このIDを非表示/違反報告)
さゆな(プロフ) - レオのアンドロイド切ない… (2019年6月25日 20時) (レス) id: a613cbb65f (このIDを非表示/違反報告)
(名前) - 初コメ失礼します!レオくんのケーキとフォークの話がとても切なくて少し悲しい気持ちになりました。読み手をそういう気持ちにさせられるってすごいと思います!応援してるので頑張ってください! (2019年6月3日 22時) (レス) id: fe02a3a839 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - adoraさんの書くせないず可愛くて大好きです!更新いつもありがとうございます…!これからも頑張ってください!! (2019年5月21日 6時) (レス) id: bc4ed3887c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:adora | 作者ホームページ:
作成日時:2019年4月24日 0時