18：密【朔間凛月】 ページ18
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私には秘密がある。
誰にも言えないような、絶対に隠さなければいけない秘密。
それは、不定期にこの２年B組の教室で行われる。
誰もいない静かで寂しい放課後に、好きな人の席に座って自習をするのだ。
傍から見れば真面目に見える私の姿。
でも本当は、授業中彼がどんなことを考えているのか、
どんな景色を見ながら授業を聞いているのか、そんなことばかりの思いを馳せているのだ。
勉強なんて建前でしかない。
ただ不自然に見られないようにするためのカモフラージュ。
今だって、例え机に伏せていても、疲れて休憩しているのだとしか思われない。
朔間くんにバレないでもうふた月もやっているのだから大したものだ。
「今日もかっこよかったなぁ、凛月くん…」
本人の前では名前で呼ばないけど、このときだけは名前で呼べる。
彼の席で、彼とおなじ景色を見て、彼と同じように机に突っ伏し、彼の名前を呼ぶ。
自分でも気持ち悪い趣味だとおもうけど、彼に迷惑が及んでないならいいのだ。
「あれ、A？」
こんな風に名前を呼ばれて、私も彼のことを名前で呼んで。
付き合えたりしなくてもそれだけで満足だなぁって。
「ちょっとぉ、Aのくせになに俺のこと無視してるの？何様？」
「……え？」
私の妄想だったら、もう少し優しい凛月くんを見る。
「俺のこと大好きなんだねぇ…？」って少し嬉しそうな彼を。
でも、この凛月くんは現実と同じくどこか下に見られているような口調。
つまりこれは、夢じゃない。
「てかそこ俺の席だよねぇ。隣近所じゃあるまいし、席間違えるわけないよねぇ？」
「あっいや、これは…！」
立ち上がろうとして彼に止められる。
机に広がった教科書やノートを一瞥して、にやりと口角を持ち上げた。
「さしずめこれはフェイク？」
「あ、その＿＿」
「ほら、何してたの？一から百までぜんぶ白状するまで帰らせないからね？」
「うっ…」
意地悪にも楽しそうにも見えるその笑顔。
トントンと机を指で軽やかに叩き、くすっと笑ってみせた。
返す言葉も見つからない。だって言われたら引かれてしまうから。
それすら見透かして見せたのか、たしかに嬉しそうに怪しくわらう。
「あんたの気持ちなんてとっくに知ってるけど」
「…だからさっさと白状しなよ。そしたら許してあげる…♪」
ドキドキと高鳴る胸に抗えるわけもなく、
私の秘密は秘密ではなくなってしまい、私の夢は見事現実となったのだった。
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くるみ - こんにちは！レオくんの話すごく切なかったです。幸せな話もまた読みたいです！これからも頑張ってください！ (2019年6月27日 13時) (
レス) id: 1520c09c44 (このIDを非表示/違反報告)
さゆな(プロフ) - レオのアンドロイド切ない… (2019年6月25日 20時) (レス) id: a613cbb65f (このIDを非表示/違反報告)
(名前) - 初コメ失礼します！レオくんのケーキとフォークの話がとても切なくて少し悲しい気持ちになりました。読み手をそういう気持ちにさせられるってすごいと思います！応援してるので頑張ってください！ (2019年6月3日 22時) (レス) id: fe02a3a839 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - adoraさんの書くせないず可愛くて大好きです！更新いつもありがとうございます…！これからも頑張ってください！！ (2019年5月21日 6時) (レス) id: bc4ed3887c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：adora | 作者ホームページ：
作成日時：2019年4月24日 0時
