15:愛の重み【月永レオ】 ページ15
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「レオくんとイチャイチャしたい」
そう、瞳を潤ませて上目がちにそう言ってきた彼女は、
今ははちみつを塗りたくったみたいに甘くて少し苦い匂いがする。
「だめ?」じゃなくて、「いや?」と聞いてくるあたり。
おれより前に彼氏がいたことはあると言っていたけど、手練だなと実感させられた。
そのままやんわりとおれを押し倒し、できるだけ体重をかけないようにまたがってくる。
腹部から下半身にかけて感じる重みは不思議と煩わしいと感じることはない。
むしろ愛しくて、もっと圧力をかけられてもいいと思える。
「A、」
「ごめん。こんな彼女やだね」
悲しそうに笑って、重力に従う髪をおさえることもなく唇が押し当てられる。
柔らかくてふわっとしていて、みずみずしいフルーツのようにおれのを弾いた。
月みたいに濃い黄色の瞳が、熱っぽくゆらりと揺れる。
それとおれの視線が交われば、おれだけ時が止まったみたいに体が言うことをきかなくなった。
ドクン、ドクンと心臓の音だけがただ、頭のなかでうるさいくらい響いている。
ただこのまま事が進んでしまうのなら何か言わなければと、
必死に口を動かして言葉を紡ぎ出す。
「A、すき。あいしてるよ、A」
じっくりと時間をかけて、存分に苦しみを与えて、他に考え事なんて出来ないくらい、
視界も音も匂いも感覚も味も、ぜんぶAで満たして。
脳にもおまえの記憶を嫌ってくらい、トラウマになるまですり込んで。
それから、ゆっくりおまえの重みでおれを潰してよ。
「レオくん、私もあいしてる」
「っていう夢を見たんだっ」
ニッコリと五線譜をかざしながらそう言えば、
彼女はふうんと頬に手を当てて机に肘をついた。
なんかセナみたい。ちょっと高圧的なカンジが似てる。
「え〜ぇ…、……レオくんのえっち」
「ち、違う違う! えっちじゃないし、そこで夢終わったしっ!」
必死に否定すれば、Aは楽しそうに肩を揺らした。
夢とは違って年相応の爽やかさが、まるで喉を潤すかのように浸透してくる。
「…うん、やっぱおれA大好き」
「愛してる」はあんな簡単には言わないから。
もっと大切に、言葉に精一杯の気持ちを込めていうから。
Aもそれまでとっておきにしておいてくれな。
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くるみ - こんにちは!レオくんの話すごく切なかったです。幸せな話もまた読みたいです!これからも頑張ってください! (2019年6月27日 13時) (レス) id: 1520c09c44 (このIDを非表示/違反報告)
さゆな(プロフ) - レオのアンドロイド切ない… (2019年6月25日 20時) (レス) id: a613cbb65f (このIDを非表示/違反報告)
(名前) - 初コメ失礼します!レオくんのケーキとフォークの話がとても切なくて少し悲しい気持ちになりました。読み手をそういう気持ちにさせられるってすごいと思います!応援してるので頑張ってください! (2019年6月3日 22時) (レス) id: fe02a3a839 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - adoraさんの書くせないず可愛くて大好きです!更新いつもありがとうございます…!これからも頑張ってください!! (2019年5月21日 6時) (レス) id: bc4ed3887c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:adora | 作者ホームページ:
作成日時:2019年4月24日 0時