No.14 『再会:轟』 夢主視点 ページ17
プロヒーロー『ショート』
本名『轟焦凍』
雄英高校ヒーロー科卒業、体育祭にて活躍。
また、表では語られないが数々のヴィランに遭遇している。
追記…あたし、測野Aの幼馴染みであり、かつての交際(？)相手
そんなプロフィールを空で言えるほどよく知った相手。
……二度と会いたくなかった。できれば、記憶の中の存在にしておきたかった。
そんな相手と仕事をする。
……最悪だとしか言いようがない。
けど、ビクビクしながら仕事現場に行けば彼はみんなの『英雄』、ヒーローであり、あたしは『ヴィラン受けとり係』と皮肉られる警察官に過ぎなかった。(実際はあたしはヴィラン連合の内通者なのだがまあ、ここではそれはそんなに関係ないことだ)
幸いにして相手はこっちに気づいていないようだし、特に問題もなく、キッチリとヒーローが活躍してそれが少しニュースになって終わった。
ああ、今ごろ連合の奴等もこのニュース見ててあたしが写ってるのみて大笑いしてるんだろうなあ。
仕事が終わっても、それくらいの感想しか出てこない。
あたしの居場所は、やっぱりあんなヒーローが立っているような光の当たるところじゃなくて、ヴィラン連合のみんなの近く……心地よい、ドス黒い闇の中なのだと再認識できた。
そして、そう思ったことで、自分が自分で思っていたほど過去に執着していないことに気づいた、気づけた。
……それで終わってくれたらよかったのに。
上司に誘われ、今回のヴィラン逮捕成功の打ち上げ飲み会に参加することになってしまった……。
この後、連合に報告に行くことを考えるとあまり酔いたくはなかったし何より、もう、彼、轟焦凍の顔を見ていたくなかった。
「Aさんはさー」
職場では珍しい女性の上司の話に相づちを適当に打ちながら、彼の方を見れば、彼もあたしと同じように職場の人間に絡まれている。
ほっとしたのも束の間のことでいきなりあたしの方を彼が向いた。
……気のせいだろう、多分。
でも、気のせいではなかった。
「久しぶりだなA」
なんで今更、あたしになんかに話しかけてくるんだ。
「……そうですね、轟さん」
彼が驚く気配がした。相変わらず、天然の無神経。
目をそらした時点で関わりたくないって思っていることくらい察してよ。
付き合っていたときは、そこが可愛らしくもあったけど、今となるととてもそうとは思えなかった。
『恋は盲目』？
『愛は盲目』？
ってヤツだったのかな？
No.15『再燃:轟』 夢主視点の続き→←No.13『燻り:轟』
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作者名：パンプキン | 作者ホームページ：http://uranai.
作成日時：2018年1月8日 17時
