２４ ・★ ページ28
扉を開け、外へ出る。そこはいつもと変わらない世界の最下層。
皆はどうなったのか、もう終わったのか。知りたくて階段を昇ろうとしたのだが、
突如として私の足はまるでそこに縫い付けられたかのように動かなくなった。
視界が暗く、黒く染まる。
こういう時には大抵、あのひとが私の後ろに立っている。
全く、どれだけ顔を合わせたくないのか。
「久しぶりだね。と言っても、僕としては君を見るのは久しい事ではないんだけど」
「そうですね。…あの時手紙まで寄こして、今までそんなことしなかったのにどういう事なんです」
「君は彼女に会わなければいけなかった。早いうちにね。」
背後であのひとが笑う。まだ足は動かないし、目の前も真っ暗のまま。
「何を、考えているんですか」
ふっ、と少し空気が変わるような気配がした。恐らく先ほどまでは背中合わせに立っていたのだろう、あのひとは私のほうに向きなおし、その手を私の眼前に持ってきた。
見えはしないのだが、そうであるとわかった。
「君は目を見れば考えていることの大体はわかってしまう子だからね。君の目が今見えているのなら、僕の考えていることだってすぐにわかってしまうんだろうな」
あのひとは、考えを読まれることを危惧しているのだろう。
だからこそ、私の目を塞ぐ。
「君の知りたいことの全てを僕は知ってるよ。でも、今は教えてあげない。」
「意地が悪いですね。前はそんなでしたっけ。」
「僕はあの時から何も変わってないよ。君は随分と変わってしまったようだけど」
目の上にかけられていた光を通さない黒い霞がゆっくりと薄くなっていった。
あのひとの気配が、遠ざかっていく。
「時が来たら、君達に全てを話そう」
完全に気配が消え去った。というよりは、溶けたような気がした。
足は、もう動く。あのひとの言っていたことが気がかりではあるが、とりあえず皆のいる所へ向かおう。
恐らく明日は筋肉痛になっているだろう。
続く
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鮭植物 - 色々あって、15話加筆しました。 (2018年2月5日 19時) (
レス) id: c73bb7fdfd (このIDを非表示/違反報告)
涙戯＠そこひれ(プロフ) - あけましておめでとうございます、日に日に増えていき楽しくなってきました、今年の黒獏もよろしくお願いいたします (2018年1月1日 18時) (レス) id: 4411fb7380 (このIDを非表示/違反報告)
鮭植物 - 皆様、明けましておめでとうございます。作者陣の都合もあり、更新は昨年に引き続き亀のようにゆっくりになるとは思いますが、今年も黒獏を宜しくお願い致します。 (2018年1月1日 14時) (レス) id: 069861b6b5 (このIDを非表示/違反報告)
沫斗＠noir(プロフ) - コメント欄かなしい、、、、 (2017年10月26日 20時) (レス) id: 4411fb7380 (このIDを非表示/違反報告)
Alyssum - MFさん» ドンマイ (2017年8月7日 15時) (レス) id: bc44d2c5f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そこひれ＠そこの引き出しレタス x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2017年5月28日 18時
