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33話 ページ33

男は右手で自分の顔を覆い隠した。




「・・・・・・・・・・恥っず、」


「雰囲気台無しじゃない」




おかげで涙も引っ込んだが、顔を隠して照れているこの男が可愛くて、愛しくて、仕方がなかった。




「ねぇ、顔見せて」


「絶対に見せねぇ」




照れてる顔が見たくて覆っている腕を引っ張り剥がそうとするがビクともしない。


どれだけ見せたくないんだ。


しかし、手では隠しきれていない耳が赤く染っているのに気付きこれで勘弁してやることにした。




「嬉しいわ、幸せよ私」


「俺もだよ莫迦野郎」




胸の高鳴りが止まらない。


心臓が今にも爆発するんじゃないかと思った。


私は顔を隠したままの男をもう一度抱き締めた。


きつく、強く、男が痛がるぐらい。




「痛てぇよ」


「嘘でしょ、全然痛くないくせに」




男は左手で、まるで赤子をあやす様に私の背中を優しく叩いた。


男から離れれば、もう平常心を取り戻したのか男の右手は顔から離れていて。




「早く準備しろ、そろそろ出るぞ」


「はいはい幹部様の仰せのままに」









身支度を済ませ、玄関で靴を履いてる途中。


それは、突然のことで。


とても、今更なこと。




「そういや、まだ自己紹介ってやつをしてなかったな」


「・・・・・・そういえば、そうね」




突拍子が無いな、とも思ったが男が上機嫌なのでつっこまないで置くことにした。




「中原中也、ポートマフィアの幹部だ」


「そんな事言われなくても知ってるわよ・・・・」


「そうじゃねぇだろ。ほら、手前も」




そこで、やっと事の意味が分かった。




「藤島A、ポートマフィアで幹部の相棒をしてるわ」




男は、にやりと笑った。


満足そうに、笑った。




笑って、優しい声で私の事を「A」と呼んだものだから


私も笑って男のことを「中也」と呼んだ。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 中原中也 , 文スト   
作品ジャンル:恋愛
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柚子豆腐(プロフ) - 天草嶋さん» コメントありがとうございます!最終話までお付き合いいただき本当に嬉しいです。番外編は書くか分かりませんが中也の話はまた書きたいと思ってますので今作以上にかっこいい中也をお届けできればと思います!新作もどうかよろしくお願いします。 (2019年8月6日 3時) (レス) id: 39b3b859c1 (このIDを非表示/違反報告)
天草嶋(プロフ) - 最終話が拝めて本当に満足です。今まで私が見たどの夢小説の中でも一番理想の中也像が描かれていて本当に大好きな作品でした。終わってしまったのは少し寂しいですが、また何か番外編などあれば是非読みたいです。新作も楽しみにしています!お疲れ様でした! (2019年8月5日 19時) (レス) id: be6bb92be5 (このIDを非表示/違反報告)
柚子豆腐(プロフ) - 謝花さん» コメントありがとうございます!こちらこそまじ感謝です!これからも頑張ります! (2019年7月20日 0時) (レス) id: 39b3b859c1 (このIDを非表示/違反報告)
柚子豆腐(プロフ) - 桜咲月菜さん» コメントありがとうございます!読んで下さっている読者様の方こそが神様でございます…でも、嬉しいです…… (2019年7月20日 0時) (レス) id: 39b3b859c1 (このIDを非表示/違反報告)
謝花 - 尊…い…まじ感謝です (2019年7月19日 14時) (レス) id: cfb76e4621 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚子豆腐 | 作成日時:2019年5月14日 5時

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