この世界を走り続けよう ページ4
この世界を走り続けよう【A】
大学の卒論も、この事務所について書いた。
一つのことしかできないバカと呼ばれても仕方ない。
でもそれが、私を幸せにしてくれる人たちへの恩返しだから。
もう、過度に男の人に寄ることもなくなったけど
髪を長くしたり、スカートを履くのはまだ抵抗がある。
いつまでボーイッシュで居るのかそんなこと分からない。
だってこんな奴は今まで何処にもいなかったから。
私は、このまま進むしかない。
だってどう考えても私はめちゃくちゃ幸運の持ち主で
めちゃくちゃ周りに恵まれている。
それが、嬉しくて仕方がない。
演技をするのも、歌を歌うのも、みんな得意だ。
逆に言えば、それしか出来ない。
天職だと自意識過剰ながら思わざるを得ない。
歌を歌えば、明日が見えた。
演技をすれば、誰にでもなれる。
私でない誰かになり沢山の人生を味見して
喜怒哀楽のその先を目指すなんて
なんて素晴らしい職業なのだろうと思う。
それに私は、俳優ではなくて、アイドルで。
誰かの偶像として愛されることは、難しいけれど
これも一種の、誰かの人生を借りていることなんじゃないかと思っていて。
普通ではあり得ないほどの長い長い青春を、私たちは、過ごしている。
応援してくれる人たちはこの青春にお金を払うのだ。
自分のリアルではないもう一人の自分が
過ごすはずだった青春のように
身近に感じていてくれているのではないか
なんて、都合が良いけれど。
よかーまさんは、恥ずかしがり屋で不器用だ。
でも私の為なら、何でもしてくれた。
すばるくんは、誤解されやすくて傷つきやすい。
でも私のことを、何でも理解してくれた。
信ちゃんは、恐れを知らない強い人だ。
でも私のことになると、いつも迷ってくれた。
丸ちゃんは、繊細でよく周りを見ている。
でも私を弟みたいに、特別扱いしてくれた。
章ちゃんは、気い遣いで色んな人と上手くやれて。
でも私の側にいつも、居てくれた。
どっくんは、怖く見られやすくてオーラが違った。
でも私の向かい風にも、必死に反論してくれた。
おーくらさんは、飄々としていて掴みにくい。
でも私を、一番褒めてくれた。
ファンの方たちは、移り気ですぐ会えなくて辛い。
でも、こんな私の担当で居てくれている。
私はこんなに恩がある。
鶴じゃないので機は織らないけど、その勢いで頑張る。
そんなこれから来る未来を、私は愛している。
.
傷跡かくして微笑む、君の優しさを知っている【青】→←目指した"未来"が"今"になり
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2020年2月27日 11時
